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目次
- 1 自動化ツールです
- 2 どんなことが出来るのか
- 3 VBA(Excelマクロ)との比較
- 4 無料版の制約
- 5 注意点
- 6 チュートリアルに必要なもの
自動化ツールです
Power Automate for desktop(旧名Power Automate Desktop、以下PAD)を使えば、パソコンを使った作業を、ロボットが代わりに処理してくれます。
2021年3月のMicrosoftの発表により、Windows
10を利用している方であれば、無料で利用できるようになりました。(Power Automate Desktop for Windows 10)
無料版ではスケジュール実行などの機能はついていませんが、作り込みを行うことで、集計業務なんかはびっくりするぐらいのスピードで処理してくれます。
どんなことが出来るのか
パソコンの操作であれば、ほとんどのことが出来ると思っていただいて大丈夫です。
ただし、使っている人間の許可が必要な操作は、ロボットでは操作できません。(悪用されたら、悪いことが出来ちゃいます)
- ウェブブラウザ(インターネット)の操作
- 販売管理システムや会計システムなどのアプリケーションの操作
- Excelの操作
- メールの操作(メールを送る、メールを開く など)
- PDFファイルの操作(複数のPDFをまとめる など)
- ZIPファイルの操作(ZIPファイルを作る、ZIPファイルを展開する)
VBA(Excelマクロ)との比較
実はPADはVBAとの相性も非常に良いです。
「Excelマクロの実行」という機能も備わっているため、「どちらがいいか(優れているか)」ではなく、適材適所で使い分けることをお薦め致します。
無料版の制約
PADのメリットは「無料」で使えることだと思います。
しかし無料版では、ロボットのコピーが出来ない等、いくつかの制約があります。
組織として、ご利用される場合は、検証用として無料版をご利用いただき、本運用では、有償版をご利用になることを強くお勧めしております。
注意点
PADは、コピー&ペーストで中身(アクション)がコピーできるようになっています。
ただし、これは将来的に利用できなくなる可能性があり(Microsoftに確認済み)、また情報の一部がコピーできない、という問題もあります。
ロボットのコピーが必要な場合は、有償版をご検討ください。
また知らない人から送られてきたり、信頼できないサイトからのコピーは絶対に使わないようにしましょう。
悪意をもった人が作ったロボットを実行してしまうと、デスクトップのファイルを削除されたり、パソコンから情報が抜き取られる可能性があります。
チュートリアルに必要なもの
- Windows 10が入っているパソコン
それでは、一緒にPADライフに突入しましょう!
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投稿ナビゲーション
はじめに
2021年3月にMicrosoftからWindowsユーザーは追加費用なしでPower AutomateのRPA機能である「Power Automate for desktop」を使って、身の回りのPC業務を自動化できると発表がありました。
あれから1年以上経過し、多くの企業が利用している、もしくは今後利用したいRPA製品の候補としてPower Automate for desktopの名前が挙げられるようになるほど、世間に浸透しました。
ひとり1台のRPAを使い、ミスが許されないなどストレスを感じる単純な繰り返し作業はRPAに任せ、創出された時間でより付加価値の高い業務に注力できる世界が少しずつ広がっています。
本掲載では、その話題となっているPower Automate for desktopをPower Automateとの連携にも触れながら紹介していきます。
今回は、Power Automateの概要と、Power Automate for desktopのセットアップと基本構成について説明します。
RPAとローコードツール
RPAとは
話を進める前に、RPAについて再確認しておきましょう。RPAはRobotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の略で、ロボットによるプロセス自動化技術を指す言葉です。これまでヒトがパソコン上で行ってきた業務をソフトウェア型のロボット(RPA)に代行させる技術です。
レガシーなシステム(メインフレームやオフコンの基幹システムなど)や、APIが提供されていないWebシステムなどの操作を自動化できます。24時間365日稼働が可能であるうえ、単調な繰り返し業務や定期的に発生する業務を自動化できます。これによって創出された時間を、より付加価値の高い業務に充てることができます。人材不足の解消や生産性向上、ヒューマンエラー削減とストレス軽減にも役立てることが可能です。
また、RPAツールの大きな特徴として、ノーコード・ローコード開発が可能である点が挙げられます。現場主導・現場主体となって自動化/効率化を推進することができるため、近年注目を集めています。
RPAを利用することで、以下のような業務を自動化・効率化できます。
- Excelで管理された大量の受注データを販売管理システムへ自動登録する
- 顧客より受領したメールに添付されたPDFファイルを自動的にファイルサーバーの所定フォルダへ保存する
- Webシステムから特定範囲の期間で注文データを検索し、CSVをダウンロードしてEDIへデータ連携する
- システムから大量の印刷物を印刷する必要があった際、他の業務に影響がでないように深夜帯に繰り返し印刷処理を行う
ローコードツールとは
ローコードとは少ないプログラムコードの記述で、アプリケーション開発や処理を自動化する機能を開発が行えます。プログラムコードの記述を全く行わずに開発する場合は、ノーコードとも呼ばれます。
図2 プログラムコードとPower Automate for desktopで同じ処理を記述した際の比較同様の処理を記述していますが、プログラムコードは0から処理を記述するのに対して、ローコードは特定の処理のまとまりを設定する(Power Automate for desktopの場合はアクションを配置する)だけで実現できます。
プログラムコードに比べ、ローコードではツール側で用意したアクションを配置するだけで要件を満たすことができます。そのため、プログラミング未経験者にもわかりやすく、学習コストを抑えられるメリットがあります。
業務自動化のためのローコードツール「Power Automate」
Power Automateとは
Microsoftが提供する業務プロセスを自動化・効率化するためのローコードツールがPower Automateです。Power Automate(クラウドフロー)/Power Automate for desktop(デスクトップフロー)を利用することで、日常的に行う単純作業や繰り返し作業を自動化できます。
従来、業務プロセスを自動化するためには、クラウドサービスを自動化するためのDPAツールと、デスクトップ操作を自動化するためのRPAツールをそれぞれ導入し、使い分けをしながら業務プロセスの自動化に取り組む必要がありました。Power Automateはクラウドサービスの自動化機能とデスクトップ操作の自動化機能それぞれを持っており、一貫して業務プロセスの自動化を実現できます。また、ヒトの判断が必要な場面ではAIの機能を活用することも可能となっています。
Power AutomateとPower Platform
Power Automateは、Microsoft Power Platformと呼ばれるローコードプラットフォームの製品群のひとつです。
Power Platformは業務分析・可視化ツールである「Power BI」、業務アプリケーション開発ができる「Power Apps」、業務の自動化やワークフローに関する機能を備えた「Power Automate」、チャットボットツールである「Power Virtual Agents」、Webサイト開発ができる「Power Pages」の5つの製品から構成されています。
Power Automateの特徴
Power Automateは大きく3つの特徴を持った製品です。
図4 Power Automateの3つの特徴1. クラウドサービスの連携・自動化
デジタルプロセスオートメーション(DPA:Digital Process Automation)やiPaaSとも表現されます。クラウドフローと呼ばれ、さまざまなクラウドサービス同士を連携させる橋渡しの役割を担っています。
図5 クラウドフロークラウドサービスには、Microsoft 365(TeamsやSharePoint、OneDrive for Business、Outlookなど)やTwitter、Salesforce、kintone、Googleサービスといった普段から利用しているツールが該当します。
Power Automateでは、クラウドサービスを連携させるための部品として「コネクタ」と呼ばれる機能が現時点(2022年7月時点)では800以上提供されており、コネクタは日々追加されています。
図6 様々なコネクタこの「コネクタ」は、クラウドサービスのAPI(Web API)[1]の仕組みをユーザーが利用しやすいように部品化した機能であり、トリガーとアクションといった対象のクラウドサービスに対する操作が提供されています。
トリガー対象のクラウドサービス内で特定のイベントが発生した時に実行できる機能アクションユーザーによって指示する「検索/登録/更新/削除」などの機能2. デスクトップの自動化
RPA機能としてPC内の作業を自動化する機能を持っています。RPA機能はデスクトップフローと呼ばれ、PCにインストールされたPower Automate for desktopを利用することでPC作業の自動化が可能です。
自動化の処理を定義したワークフロー情報や実行履歴などの各種情報はのオンラインストレージ上で管理されるため、クラウドネイティブなRPAツールとも表現されます。
有償の機能として、クラウドフローと連携してスケジュール実行や、特定の条件で実行できる自動実行の仕組みを利用できます。
図7 デスクトップフロー3. AI機能
普段ヒトが判断している業務プロセスの一部をAIが学習し、最適な自動処理を実現させる機能です。
Power Automateでは以下の機能が利用できます(別途有償ライセンスが必要です)。
AI BuilderAIモデルを構築し、ワークフロー内で利用できる
画像データからのテキスト抽出やテキスト情報からの感情分析、物体検出など、これまではヒトの判断が必要だった処理をAI Builderを使うことで自動化できます。
また、業務プロセスに合わせた独自のAIモデル(自分でAIをカスタマイズ、トレーニング可能)を作成することができ、一貫して業務プロセスの自動化を実現できるようになります。
図8 AI Builder(1)業務のボトルネックを可視化し、最適な処理を提案、業務プロセスを最適化するため機能を提供します(プロセスマイニング機能)。
組織全体の業務プロセスを主なターゲットとするプロセスマイニング機能と、デスクトップの操作をターゲットとするタスクマイニングの機能から構成されています。
図10 Process AdvisorPower AutomateのRPA機能(Power Automate for desktop)を利用するための準備
Power Automate for desktopを利用するための環境
利用する端末は常にインターネットに接続している状態で、Power Automate for desktopのアプリケーションにMicrosoftアカウントでサインインしている必要があります。
前節でも解説したとおり、Power Automate for desktopはクラウドネイティブなRPAツールです。そのため、デスクトップフローの情報や実行履歴のログ情報などはMicrosoftが提供するクラウドストレージに保存されます。
使用するライセンスによって格納されるクラウドストレージが異なる点には注意が必要です。
個人のMicrosoftアカウント個人のクラウドストレージ領域である、「OneDrive」上に保存されます。保管場所はあくまでも個人の領域であり、組織全体で一元管理することは難しい点で注意が必要です。企業内で利用する組織アカウントMicrosoftが提供するデータプラットフォーム「Microsoft Dataverse」上にフローの情報は保管されます。DataverseはPower Platformの他サービスでも利用できます。組織全体でPower Platformを推進している場合には、Power Appsなど他のPower Platform製品を含め、統制を図ることが可能となっています。Microsoftより提示されているPower Automate for desktopのシステム要件は以下のとおりです。
表1 デスクトップ用Power Automateの前提条件と制限(Microsoft Docsより)
Windows 10 Home/Pro/Enterprise Windows 11 Home/Pro/Enterprise Windows Server 2016/2019/2022 |
プロセッサー: デュアルコア以上で1.00GHz以上 ストレージ: 1GB RAM: 2GB |
プロセッサー: デュアルコア以上で 1.60GHz 以上 ストレージ: 2GB RAM: 4GB GPUアクセラレーション |
.NET Framework バージョン 4.7.2またはそれ以降 利用する端末がインターネットに接続されていること |
なお、デスクトップフローをクラウドフローと連携したい場合には、別途有償のライセンス(Power Automate per user attended RPA planやPower Automateの従量課金プランなど)とWindows OSもPro以上を用意する必要があることに注意してください。
Power Automate for desktopのインストールとサインイン
1. Power Automate for desktopのインストール
Windows 10を利用の方は、Power Automate for desktopのインストールが必要です。インストーラーファイルは、Microsoft Docsにある「ご利用のデバイスにPower Automateをインストールする」ページにある、手順1「Power Automate のインストーラーをダウンロードします」から入手できます。
インストーラーの手順に従ってインストールを行ってください。筆者のサイト「ロボ研サポートサイト」も参考にしてください。
また、Microsoft Storeからもインストールが可能です。「Power Automate」という名前で検索できます。
図11 Microsft Storeからインストールも可能Windows 11を利用している場合は「Power Automate」という名前でPower Automate for desktopが標準搭載されています。Windowsメニューから「Power Automate」と入力し、検索するとアプリが見つかります。
図12 Windows 11では標準搭載されている2. Power Automate for desktopにサインインする
Power Automate for desktopを起動すると、サインインが求められます。Microsoftアカウントのメールアドレスを入力し、「サインイン」をクリックしてください。サインインが成功すると、コンソール画面が表示され実際にフローの実行や作成、編集が可能になります。
図13 サインイン画面Power Automate for desktopの画面構成
コンソール画面
Power Automate for desktopを起動した際に最初に表示されるウィンドウがコンソール画面です。ユーザーはこのコンソール画面から新しいフローの作成や編集、削除、既存のフローの実行などを行います。
図14 コンソール画面コンソール画面の設定機能では、Power Automate for desktopの最新バージョン確認やインストールも可能です。また、サンプルフローを起動して活用することもできます。有償ライセンスの場合は他のユーザーから共有されたフローを確認できます。
なお、2022年7月の更新でコンソール画面から、デスクトップフローの詳細情報(フローの所有者や作成日時、更新日時など)を確認できる機能が提供されており、2022年12月の更新予定情報では、コンソール画面から他ユーザーへのフロー共有が可能になるとアナウンスされています(2022年7月時点では、Power AutomateのWebポータル画面からのみ共有が可能です)。
図15 サンプルフローフローデザイナー画面
フローデザイナーは、フローの作成や編集を行う画面です。フローの作成やデバッグするために必要な機能が含まれており、デスクトップフローでは重要な変数やUI要素、画像の管理を行うことができます。
図16 フローデザイナー画面まとめ
今回はPower Automateの概要を中心にローコードツールのPower Automateを利用することで、クラウドサービスやPC作業など様々な業務プロセスを自動化できることを紹介しました。
次回からは実際にデスクトップフローを作成し、フローを実行する流れを実践的に紹介します。