令和2年(2020年10月)50問 全解答はこちら
宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、特に断りのない限り、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。
①の解説:正しい【問題文】 重要事項説明書の記載事項(物件に関する事項) ⑥国土交通省・内閣府令で定める事項 1.防災上安全な区域であるか否か(危険3種) ①土砂災害警戒区域にあるときはその旨 ②造成宅地防災区域にあるときはその旨 ③津波災害警戒区域にあるときはその旨 2.既存の建物の共通事項(調査・診断) ①石綿 ②耐震診断 →建物が耐震診断を受けているときはその内容を説明します。 ただし、昭和56年5月31日以前に着工した建物が対象です。 昭和56年6月1日以降は、いわゆる新耐震基準(建築基準法)が適用されて おり除かれます 「⑥国土交通省・内閣府令で定める事項」の中には、耐震診断のことも含まれています。 ※新耐震基準が昭和56年6月1日であることは、試験対策だけでなく不動産の実務でも関係するところなので、是非覚えておきたいところです。 ②の解説:正しい【問題文】 賃貸の場合の特記記載事項 ⑥金銭の契約終了時の清算に関する事項 契約終了時の金銭清算に関する事項の取り決めの有無・内容 (例)賃料の滞納があった場合は敷金から充当するなど 表の通りです。そのため、答えは【正しい】 ③の解説:正しい【問題文】 宅地建物取引業法 第35条6項(要約) 「委託者」と「受益者」が同一になることもあります。 この受益権の権利を売却する場合、それによる収益が不動産によるものであれば、買主は不動産がどのような物件なのかを良く知る必要があります。 この場合、例え相手が宅建業者であったとしても、取引には【金融商品取引法】も絡む内容のため重要事項説明書の説明が必要となります。 この説明を省略できるケースは次の3つです。
通常の不動産売買のケースと異なるということです。 とはいえ、不動産信託受益権については、めったに問われない内容ですので、さらっと目を通せばOKです。 ④の解説:誤り【問題文】 区分所有区分所有建物に関するの追加記載事項 上記の通りです。そのため、答えは【誤り】です。 <まとめ 正解:4> ③以外は基礎問題でした。③が分からなくても解ける問題ですね。 令和2年(2020年10月)50問 全解答はこちら 宅建業法のひっかけ問題:皆さんが取得する宅建士のメイン業務である「重要事項の説明」のひっかけ問題を見ていきます。問答無用で重要ですね。前提知識は「かんたん宅建業法」重要事項の説明をご覧ください。 丸々2~3問出題されることが多いため、いつもの2~3倍のボリュームです。基本的な問題はそこそこに、皆さんが苦手にしているであろう重要事項の中身(35条書面記載事項)について重点的に見ていきます。 【問2】ー 【問3】売買の買主が宅建業者である場合、重要事項の説明を省略することができる。
【問4】ー 【問5】ー 【問6】重要事項の説明を行う際、相手方からの請求がなくても、宅建士証を左胸に着けて常に提示しておかなければならない。 【問7】宅建業者ABが共同して作成した35条書面で、Bが担当した事項に誤りがあった場合、Bだけが指示処分を受けることがある。 【問8】ー 【問9】建物売買において、宅建業者でない売主と宅建業者である買主が、媒介業者を介さずに契約を締結した場合、重要事項の説明は行われない。 【問10】建物売買において、移転登記の申請時期および建物の引渡し時期について説明することを要する。 【問11】ー 【問12】ー 【問13】ー 【問14】区分所有建物の売買において、当該建物の一部を特定の者だけが使用できる旨の規約の定めがあるときは、その内容について説明することを要するが、使用者の氏名や住所までを説明する必要はない。 【問15】区分所有建物の貸借において、当該建物の管理が委託されているときは、その管理内容について説明することを要するが、受託者の氏名や住所までを説明する必要はない。 【問16】区分所有建物の貸借において、借賃として授受される金銭の額について説明することを要する。 【問17】ー 【問18】ー 【問19】ー 【問20】区分所有建物の貸借において、契約終了時に精算することとされている金銭の精算に関する事項は、定まっていない場合でもその旨を説明することを要する。 【問21】ー 【問22】ー 【問23】ー 【問24】ー 【問25】建物貸借において、石綿の使用の有無について宅建業者は調査をして説明することを要する。 【問26】工事完了前の宅地建物売買において、工事完了時の形状や構造に加え、当該宅地に接する道路の構造や幅員についても説明することを要する。 【問27】工事完了前の宅地売買において、下水道が未整備であるときは、未整備である旨および整備の見通しまで説明することを要する。 【問28】令和元年10月に新築工事に着手した建物売買において、当該建物が指定確認検査機関等の耐震診断を受けたものであるときは、その内容を説明することを要する。 【問29】ー 【問30】宅建業者を委託者とする建物にかかる信託受益権の販売において、当該信託受益権の売買契約を締結する半年前に、宅建業者が買主に対して当該契約と同一内容の契約について書面で説明していた場合、今回の契約については重要事項の説明を省略することができる。 間違えそうな問題を考えていたらすごい量になってしまいました。しかし、難易度高めのこれらを押さえておけば重要事項のひっかけ対策は万全です。他の重要事項は覚えやすいものばかりですので、かんたん宅建業法や過去問でご確認ください。宅建業法で3本の指に入る・・いえ、最も面倒なところなので、少しずつ覚えていきましょう! 【1】ー 【2】ー 【3…〇】 相手方が宅建業者である場合、重要事項の説明は不要となります(35条書面の交付は必要)。相手方の承諾がある場合、相手方が遠隔地にいる場合、相手方が契約内容を熟知している場合…などの場合でも重要事項の説明は省略できませんので注意してください(例外は解答30参照)。【4】ー 【5】ー 【6…×】重要事項の説明を行う際に、 請求がなくても宅建士証を提示する点は正しいですが、左胸に着けるという方法に限定されているわけではありません。提示違反は10万円以下の過料で、取引関係者から請求があったときだけ提示を要する従業者証明書の提示違反に罰則はない点と比較しておいてください。【7…×】連帯責任として宅建業者Aも共同で責任を負い、指示処分から重いときは業務停止処分もありえます。重要事項の説明は、AまたはB どちらか一方の宅建士が行えば足りますが、記名押印はAB両方の宅建士のものが必要です。【8】ー 【9…〇】重要事項の説明とは、宅建業者が買主または借主に対して行うものです。売主が宅建業者ではなく、媒介を依頼された宅建業者もいませんので、重要事項の説明義務者は存在しませんね。 【10…×】 移転登記の申請時期および引渡し時期は、37条書面記載事項であり、重要事項として説明する必要はありません。ここすごく出題されます。【11】ー 【12】ー 【13】ー 【14…〇】 区分所有建物の売買・交換で、建物の一部を特定の者だけが使用できるという規約がある旨およびその内容は説明することを要します(貸借は不要)。使用者の氏名や住所まで説明する必要はありません。【15…×】 区分所有建物の全契約で、委託を受けている管理者についての説明を要し、当該管理者の氏名や住所(法人なら名称や所在地)、貸借において賃貸住宅管理業者登録規定の登録を受けている管理者がいるときはその登録番号まで説明する必要があります(H29法改正)。管理業務の内容まで説明する必要はありませんのでひっかけ問題に注意。【16…×】区分所有建物に限らず、 借賃以外に授受される金銭の額と授受の目的は説明することを要します(授受の時期や金銭の保管方法は説明不要)が、借賃自体の説明は不要です(売買や交換も、代金や交換差金自体の説明は不要)。これも37条書面との比較でよく出題され、37条書面には借賃の記載が必要です。【17】ー 【18】ー 【19】ー 【20…〇】区分所有建物に限らず 建物貸借で、契約終了時における敷金その他金銭の清算に関する事項は、定まっていない場合でもその旨を説明することを要します。【21】ー 【22】ー 【23】ー 【24】ー 【25…×】 石綿の使用の有無は、調査結果が記録されていれば建物の全契約において説明することを要しますが、宅建業者自らが調査する必要はありません。記録が残っていない場合、照会して記録が存在しないことが分かれば調査義務を果たしたことになります。【26…〇】 工事完了前物件の売買については、当該物件の工事完了時の形状や構造に加え、接する道路の構造や幅員も説明することを要します(未完成物件の全契約)。【27…〇】飲用水、電気、ガスの供給および排水用の施設が整備されていない場合、 全契約において整備の見通しや整備に関する特別の負担について説明することを要します。【28…×】 昭和56年6月1日以降に新築工事に着手した建物については、耐震診断の内容を説明する必要はありません(=昭和56年5月31日以前着工の建物は説明必要)。【29】ー 【30…〇】重要事項の説明が不要となる例外の1つですね。 信託受益権の売買契約締結1年以内に当該契約と同一内容の契約について書面を交付して説明していた場合、相手方が金融商品取引法に規定する特定投資家である場合、相手方に対して金融商品取引法に規定する目論見書を交付している場合は、重要事項の説明を省略することができます。絶対役立つ宅建業法一覧ページに戻る
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