耐火建築物は、主要構造部が耐火構造または政令で定める技術的基準に適合することに加え、開口部を防火設備とした建築物です。 この記事では、建築基準法上の耐火建築物の定義や、混同しやすい防火区画の耐火構造の規定との違いについて解説しています。 用途変更や適法改修の具体的な事例・プロジェクトにご興味のある方は、用途変更・適法改修の事例一覧をご覧ください。確認済証がない状況からの用途変更や違法状態からの適法改修など、お客さまの状況に沿ったサポート事例をお探しいただけます。 耐火建築物の定義や防火区画の規定との違い耐火建築物とは、建築基準法第二条9の二には下記のように記載されています。
つまり、主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)を耐火構造にするだけでは足りず、ロの様に開口部を防火設備にすることが必要です。 また、耐火建築物の規定と、防火区画の耐火構造の規定はよく混同されますが、準耐火建築物の区画であれば、面積区画(施行令百十二条1項)、竪穴区画(施行令百十二条9項)、異種用途区画(施行令百十二条12、13項)は、それぞれ耐火時間の差はあるものの準耐火構造でよく、耐火構造にする必要はないのです。 しかし、逆に防火区画の壁や床は主要構造部にあたるため、耐火建築物の場合は準耐火構造では足りず、耐火構造とする(イ-1)か、政令基準を満たす(イ-2)必要があります。 防火区画の規定が「主要構造部を耐火(準耐火)構造にした建築物で・・・」という文言で始まることや、施行令で詳細が規定されるため、見落としがちですが、耐火建築物の定義の部分でそもそも主要構造部を耐火構造とするか政令規準を満たすことが規定されているということを忘れてはいけません。 建物の法律家・建築再構企画は、建築主(ビルオーナーや事業者)向けの無料法律相談や、建築士向けの法規設計サポートを行っています。建物に関わる関連法規の調査に加え、改修や用途変更に必要な手続きを調査することも可能です。詳しくは、サービスメニューと料金のページをご覧ください。 関連記事関連する記事を以下にまとめています。また、これまで建築再構企画が手がけた事例・プロジェクトについては、用途変更・適法改修の事例一覧にて紹介しています。確認済証がない状況からの用途変更や違法状態からの適法改修など、お客さまの状況に沿ったサポート事例をお探しいただけます。 主要構造部を耐火(準耐火)構造にした建築物の竪穴区画 <主要構造部の各種構造方法(耐火構造・防火構造・不燃材など)> 「柱を1時間耐火の耐火構造にしなければならない」と法令上の条件がある時に,柱をどのようにしたら1時間耐火になるのか,というのは建築基準法を適用する上で誰もが突き当たる問題です。鉄筋コンクリート造の柱や耐火被覆した鉄骨柱が耐火構造に該当するのですが,耐火構造の柱にはいろいろな種類があることとあてはまることの条件が細かく規定してあるので正確に読み解くことが難しい規定になっています。 床を耐火構造にする,外壁を防火構造にする,内装の壁仕上げを不燃材にする,なども同じように難しい規定です。 このページでは,耐火構造などが基準法でどのように規定されているのか,それをどのように読み解くのかを解説します。 例えば,耐火構造は,建築基準法第2条第7号で定義されています。そして,耐火構造の関係条文は次のものです。
【耐火構造の定義】 法第2条第7号 耐火構造 「壁,柱,床その他の建築物の部分の構造のうち,耐火性能(通常の火災が終了するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合する鉄筋コンクリート造,れんが造その他の構造で,国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。」 【性能に関する技術的規準】 令第107条「 一 次の表に掲げる建築物の部分にあつては,当該部分に通常の火災による火熱がそれぞれ次の表に掲げる時間加えられた場合に,構造耐力上支障のある変形,溶融,破壊その他の損傷を生じないものであること。 【条文指定の構造方法】 【個別認定の構造方法】 耐火構造の定義は法第2条第7号でされていますが,そこには具体の構造方法の規定はありません。耐火構造の場合は,守るべき性能ランクが複数あって,それは令第107条で1時間の耐火要求,2時間の耐火要求などが規定されています。で,具体に柱をどのように作ったら1時間耐火の柱になるのかの規定は,2種類あって,告示で定められている条文指定とメーカーが申請によって認定(いわゆる「個別認定」)とがあります。個別認定については〈各種構造方法の個別認定(耐火構造・防火構造・不燃材など)〉で解説します。 上記は,耐火構造ですが,防火構造や不燃材料なども同じような法体系になっていますから,まとめると次のようになります。
耐火構造と準耐火構造の違いは〈耐火構造と準耐火構造の違い〉で解説します。 防火設備の構造方法は〈防火設備の構造方法〉で解説します。 上記一覧表とは別に類焼防止のための屋根の構造方法があってこれが複雑です。〈屋根の構造方法(類焼防止性能・屋根不燃)〉で解説します。 壁紙を貼った仕上げが不燃仕上げになるのか準不燃仕上げになるのかの制度もわかりにくいので〈壁紙を貼った仕上げの不燃・準不燃〉で解説します。
屋根構造は,4種類に分かれていて複雑です。こちら〈屋根の類焼防止性能・屋根不燃〉に解説を入れましたのでご覧ください。適用事例については〈屋根の類焼防止性能・屋根不燃の適用事例・考え方の整理〉です。 上記は個別認定のところを「各社の認定」として内容を省略しています。個別認定の解説はこちら〈各種構造方法の個別認定(耐火構造・防火構造・不燃材など)〉です。 [ckckaisetsu1] [ckckaisetsu2] ※ 耐火構造・防火構造・不燃材などをひとくくりにした用語が見当たりませんが,ここでは「主要構造部の各種構造方法」と呼ぶことにします。このHP上で名付けたもの ※ 「条文指定の構造方法」「個別認定の構造方法」という法律用語はありません。 ※ 「条文指定の構造方法」とは,「厚さが15㎜以上のせっこうボードで防火被覆がされたもの」というように形態で指定されるもので,「仕様書的規定」と呼ばれるものです。 ※「大規模木造建築物に求められる準耐火構造」「耐火建築物等としなければならない特殊建築物の主要構造部の耐火などの構造」という法律用語はない。このHP上で名付けたもの ※「準防火構造」という法律用語もないが一般的に使われている。 <構造方法の関連情報> 〈耐火構造と準耐火構造の違い〉 〈防火設備の構造方法〉 〈屋根の構造方法(類焼防止性能・屋根不燃)〉 〈屋根の類焼防止性能・屋根不燃の適用事例・考え方の整理〉 〈構造方法等の個別認定(耐火構造・防火構造・不燃材など)〉 <関連情報> 〈住宅用防災機器〉 〈第38条削除後の認定杭の扱い〉 〈羽根付き鋼管杭と大臣認定〉 〈指定建築材料〉 〈許認可手続きの基礎〉 〈倉庫と1500㎡区画〉 〈天井の落下対策(特定天井)〉 〈既製コンクリート杭の法適用〉 〈鋼杭の法適用〉 〈幼稚園は学校に分類される〉 〈各主要構造部の構造方法(耐火構造・防火構造・不燃材など)〉 〈排煙緩和告示(屋外への出口のある居室)〉 〈仮使用認定(2015年6月施行)〉 [ckckaisetsu2] このページの公開年月日:2015年8月2日 非耐力壁の耐火時間は?「耐火性能」の部位別の必要性能と仕様. 耐火構造 何分?耐火性能に関する技術的基準. 建築の耐火時間は?建築基準法第2条及び施行令第107条に基づき,建築物の規模(階数),主要構造部ごとに耐火時間を定め,これに適合する耐火構造の仕様を国土交通大臣が認定する仕組みになっています。
...
. 耐火2時間の階数は?梁は柱と一体として構成されるもので耐火時間は柱と同じであり、最上階から 4 層目 までが 1 時間耐火以上、5 層目から 14 層目までは 2 時間耐火以上とされている。
|