SDS制度の対象業種は?

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  • 1. 化管法の定めるSDS制度の目的
    • 1.1. SDSとMSDSの違い
  • 2. 化管法の定めるSDS制度の対象化学品
    • 2.1. SDSを提供しなくても良い化学品
  • 3. 化管法の定めるSDS制度の対象事業者
  • 4. SDSに記載されている内容
  • 5. よくある質問

SDS制度の対象業種は?

化学物質や、化学物質を含む製品(化学品)を使用・貯蔵したり輸送や廃棄したりする際に、どのように扱っていいか分からず困ったことはありませんか?
化学物質排出把握管理促進法(以下、化管法)ではSDS(安全データシート)や製品ラベルを通じて、化学品の特性及び取扱いに関する情報を他の事業者・使用者に提供することを義務づけています。
SDSの提供を義務付けている法律は、化管法以外に労働安全衛生法(安衛法)と毒物劇物取締法(毒劇法)がありますが、 このページでは化管法に基づくSDS制度の目的や作成対象を紹介し、SDSに記載されている内容を解説いたします。

なお、化研テック株式会社製品のSDSがご入用の方は、こちらのページをご確認ください。

化管法の定めるSDS制度の目的

SDSはSafety Data Seet(安全データシート)の頭文字をとったものです。
化管法の定めるSDSとは、事業者が化学品を国内の他の事業者に譲渡・提供する際にその性状及び取扱いに関する情報を事前に提供する制度で、化学品に起因する予見可能なリスクについて周知し、化学品に関わる人の健康及び環境に対する災害・事故を防ぐことを最大の目的としています。

SDSとMSDSの違い

安全データシートは、国内ではMSDS(製品安全データシート、化学物質安全データシート、)と呼ばれていました。しかし、国連勧告であるGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム:The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)ではSDSと定義されていたため、2012年にJIS Z 7253が制定された際に名称も「MSDS」から「SDS」に変更されました。

化管法の定めるSDS制度の対象化学品

化管法に基づくSDS制度の対象物質は、化管法で定める「第一種指定化学物質(462物質)」及び「第二種指定化学物質(100物質)」の合計562物質です(2022年5月現在)。2021年10月に改正化管法が公布され、2023年4月1日以降は第一種指定化学物質が515物質、第二種指定化学物質が134物質の合計649物質となります。

指定化学物質の含有率が1質量%以上(特定第一種指定化学物質の場合は 0.1質量%以上)の製品にはSDSの提供義務及びラベル表示の努力義務が課せられます。

☆NOTE☆
化管法の定めるSDS制度の対象物質でない場合でも、労働安全衛生法や毒劇法に基づきSDSの提供義務が発生する場合があります。

SDSを提供しなくても良い化学品

化管法においては、下記に該当する製品は例外的にSDSの提供義務はありません。

  • ✔ 対象化学物質の含有率が少ないもの
    具体的には指定化学物質の含有率が1質量%未満(特定第一種指定化学物質の場合は 0.1質量%未満)のもの
  • ✔ 固形物(粉状や粒状のものを除く)(板、成形品など)
  • ✔ 密閉された状態で使用する製品(乾電池やコンデンサなど)
  • ✔ 一般消費者用の製品(洗剤、殺虫剤など)
  • ✔ 再生資源(金属くずなど)

☆NOTE☆
化管法の定めるSDS制度において提供義務が無い場合でも、労働安全衛生法や毒劇法に基づきSDSの提供義務が発生する場合があります。

化管法の定めるSDS制度の対象事業者

化管法の定めるSDS制度の対象事業者は、国内の他の事業者に対象となる化学品を譲渡・提供する全ての事業者です。
PRTR制度のように業種や常用雇用者数、指定化学物質の年間取扱量による除外要件はありませんので注意が必要です。

なお、化管法に基づくSDS・ラベルは事業者同士の取引において提供するものであり、一般消費者は提供の対象ではありません。

SDSに記載されている内容

SDSは下記の16項目から構成されており、この順番どおりに記載することになっています。

  • 1.化学品及び会社情報
  • 2.危険有害性の要約
  • 3.組成及び成分情報
  • 4.応急処置
  • 5.火災時の措置
  • 6.漏出時の措置
  • 7.取り扱い及び保管上の注意
  • 8.ばく露防止及び保護措置
  • 9.物理的及び化学的性質
  • 10.安定性及び反応性
  • 11.有害性情報
  • 12.環境影響情報
  • 13.廃棄上の注意
  • 14.輸送上の注意
  • 15.適用法令
  • 16.その他の情報

大きく分類すると、化学品に関する作成者や供給者の情報基本的な危険有害性情報安全に扱うための情報が記載されています。
なお、SDSは化学品を安全に扱うための情報が記載されているものであり、安全性を証明するものではないことに注意してください。

よくある質問

弊社にお寄せいただくご質問を取り上げ、SDSのどこに対策や詳細が記載されているのか回答いたします。

この化学品はどのくらい危険なの?

危険有害性は、項目2 危険有害性の要約に記載されています。
GHSにおける危険有害性がある場合は区分1(危険性:高)~区分4(危険性:低)で記載されます。
また、項目2には注意書きも記載されますので、注意書きに記載された内容は実際に化学品を取り扱う担当者にも周知してください。

危険有害性の「分類できない」ってどういうこと?

項目2の危険有害性の要約には「分類できない」、「区分に該当しない」という記載がありますがそれぞれ下記の通りの意味を持ちます。
「分類できない」:データが十分になく、分類の判断ができない(危険性は不明)
「区分に該当しない」:十分なデータからGHSにおける区分に該当しない、または物理的状態/化学構造から分類の対象とならない(危険性は低い)

記載が無い場合はデータがなく分類がされていない、GHSにおける区分に該当しない、物性からGHS分類が不可能、のいずれかの場合が考えられます。データがなく分類がされていない場合は対象の化学品を正しく扱うことが困難なため、SDS作成者に問い合わせることをお薦めします。その他の場合は、項目9~12に記載することが推奨されています。

化学品を扱うとき、マスクや手袋は必要?

項目8 ばく露防止及び保護措置 に着用すべき個人用保護具の記載があります。
呼吸用保護具(マスクなど)、手の保護具(手袋、ニトリル製のグローブなど)、目の保護具(ゴーグルなど)、皮膚及び身体の保護具(保護衣、エプロン、長袖など)の記載がありますので、記載に従った保護具を着用の上、化学品を取り扱ってください。

化学品の廃棄方法は?

項目13 廃棄上の注意に記載があります。
「水で薄めてそのまま下水に排出しても良いか」とお問い合わせいただくこともありますが、必ずSDSの項目13に記載されている内容に従い、適切に廃棄してください。

他の化学品と混ぜても問題ないですか?

項目10 安定性及び反応性 に保存条件下での安定性や避けるべき条件、避けるべき物質についての記載があります。

化研テック株式会社のIPAのSDSを例に見てみましょう。

SDS制度の対象業種は?

混触危険物質として「強酸化剤」の記載がありますので、酸化力が強い物質と混ぜないようにしてください。

*本ページに記載されている情報は2022年5月時点の情報です。最新情報は経済産業省のWEBサイトなどを確認ください。

法令のハテナ

化管法(化学物質排出把握管理促進法)について

  • 概要

化管法(化学物質排出把握管理促進法)の概要

化管法(化学物質排出把握管理促進法)とは正式名称を『特定化学物質の環境への排出量の把握等および管理の改善の促進に関する法律』と言います。
有害性がある化学物質に関して、SDS制度とPRTR制度という2つの制度により、事業者の管理を徹底し、環境の保全を図る事を目的とした法令です。

SDS制度の概要

第一種指定化学物質、第二種指定化学物質及びそれらを含有する製品を他の事業者に譲渡・提供する際はその物質の性状や取り扱いに関する情報(SDS:安全データシート)を提供する事を義務付けた制度です。
取引先の事業者からSDSの提供を受ける事は、自らが使用する化学物質の有害性や取り扱い上の注意点などを把握し、化学物質の適切な管理に役立てる事を目的としています。

SDS制度の対象物質及び対象製品

人体や生態系に悪影響を及ぼす恐れがある性状のもので、それらが人体や環境へ悪影響を及ぼす危険度によって「第一種指定化学物質」と「第二種指定化学物質」の2つに分けられます。
具体的には人体や生態系への有害性、オゾン層の破壊の危険性があり、環境中に広く存在しているもしくは今後増えていく可能性があるとされる物質として562物質が指定されています。

これら全て(562種)がSDS制度の対象物質となります。
各指定化学物質の詳細情報は下記ページを参考にしてください。

第一種指定化学物質【462種】
「経済産業省ホームページ」より参照。  
第二種指定化学物質【100種】
「経済産業省ホームページ」より参照。

上記のようなSDS制度対象化学物質を含有した製品であっても、一定の要件に該当する製品は対象外となります。

    SDS制度対象外となる製品
  • 対象化学物質の含有量が1%未満の製品
  • 特定第一種指定化学物質の含有量が0.1%未満の製品
  • 粉状や粒状のものを除いた固形物
    (金属板や管など)
  • 密封された状態で使用する製品
    (乾電池など)
  • 一般消費者用の製品
    (家庭用洗剤、殺虫剤など)
  • 再生資源
    (金属くず、空き缶など)

SDS制度の対象事業者

「SDS制度対象化学物質」または「SDS制度対象化学物質を含有した製品」を他の事業者に譲渡・提供するすべての事業者が対象となります。
PRTR制度のような業種の指定や常用雇用者数、年間取扱量などの指定要件はありません。

SDSの概要

正式にはSafety Data Sheet(安全データシート)と言い、物質の性状や取り扱いに関する情報を記載したものです。
下記のような物質を販売および譲渡する際にはSDS(安全データシート)の提供が義務付けられています。

  • 毒物及び劇物取締法に指定されている毒物劇物
  • 労働安全衛生法で指定されている通知対象物質
  • 化管法(化学物質排出把握管理促進法)の指定化学物質

SDSは平成23年度までは一般的に「MSDS (Material Safety Data Sheet : 化学物質等安全データシート)」と呼ばれていましたが、国際基準と統一すべくGHSで定義されている「SDS」に統一されました。

  • 従来の表現(MSDS)に関してラベル表示の努力義務規定が適用されます。
    純物質は平成24年6月1日から、混合物は平成27年4月1日から適用となります。

SDSの提供方法

SDSは基本的に文書または磁気ディスクの交付によって提供することとされています。
ただし、提供する相手の承諾が得られている場合はファックスや電子メールでの送信、ホームページへの掲載などの手段で提供することも可能です。

提供せねばならない情報は経済産業省にて定められていますが、様式に関しては特に規定は設けられていないため作成事業者はある程度自由に作成することができます。
掲載内容の詳細は下記経済産業省HPをご参照ください。

JIS対応版SDS標準的書式
「経済産業省ホームページ」より参照。

SDSの作成方法

SDSによる危険有害性情報の伝達方法は、「GHSに対応する国内規格:JIS Z7253」及び「国際規格:ISO11014」においてその記述内容が標準化されており、これらの書式に従って作成されたSDSが広く提供されています。

化管法においても「JIS Z7253」に適合した記載に努めるよう、省令で規定されています。
また、SDSは日本国内の場合は日本語、輸出の場合などは提供先の国の言葉に合わせて作成することが義務付けられています。

  • 化管法ではJISよりも詳細な記載を求める部分もあります。JISへ適合させ、さらに化管法特有の記載事項にも併せて対応する必要があります。 詳しくは下記経済産業省HPをご参照ください。

SDS作成方法
「経済産業省ホームページ」より参照。

SDSの記載項目

SDSで提供する情報については、下記のとおりSDS省令で定められています。またJIS Z7253において項目名の番号、項目名および順序は変更してはならないと規定されています。

  • 化学品及び会社情報
  • 危険有害性の要約
  • 組成及び成分情報
    *含有する指定化学物質の名称
    指定化学物質の種別
    含有率(有効数字2桁)
  • 応急措置
  • 火災時の措置
  • 漏出時の措置
  • 取り扱い及び保管上の注意
  • ばく露防止及び保護措置
  • 物理的及び化学的性質
  • 安定性及び反応性
  • 有害性情報
  • 環境影響情報
  • 廃棄上の注意
  • 輸送上の注意
  • 適用法令
  • その他の情報

ラベルの作成方法

化管法に基づき指定化学物質などのSDS情報を提供する際、GHSとの整合を図るため、ラベル表示による情報提供を「JIS Z7253」に適合して行うことが努力義務化されています。
提供する情報は下記のとおりです。

  • 危険有害性を表す絵表示
  • 注意喚起語
  • 危険有害性情報
  • 注意書き
  • 化学品の名称
  • 供給者を特定する情報

危険有害性を表す絵表示

  • JIS Z7253に適合したラベル提供の努力義務規定について、純物質は平成24年6月1日から、混合物は平成27年4月1日から適用となります。

PRTR制度の概要

    環境や人体に悪影響を及ぼす恐れがある化学物質が、
  • どの事業所からどういう経路でどのように使用されたか
  • 最終的な環境(大気・水域・土壌など)中への排出量
  • 廃棄物と共に事業所外への移動した量

上記の3項目を事業者は把握し、国に届出をしなければなりません。
国はそのデータや推計に基づき、排出量、移動量を集計し、公表する制度です。

PRTR制度の対象物質

現在462物質が指定されています。
人体や生態系に悪影響を及ぼす恐れがある性状のもので、「第一種指定化学物質」として定義されています。
そのうち、発がん性、生殖細胞変異原性および生殖発生毒性が認められる15物質が「特定第一種指定化学物質」として指定されています。
PRTR制度対象物質の排出量等の把握の期間は4月1日から翌年の3月31日となっています。

第一種指定化学物質の詳細情報は下記リンクページを参考にしてください。
PDFデータ表内に「特定第一種指定化学物質」も示されています。

第一種指定化学物質【462種】
「経済産業省ホームページ」より参照。

PRTR制度の対象事業者

第一種指定化学物質を製造・使用、もしくはその他取り扱いにより環境に排出する可能性がある事業者が対象となります。
具体的には下記の項目全てに該当する事業者です。

  • 第一種指定化学物質を使用する従業員数が21人以上の事業者
    本社及び全国の支社、出張所等を含める全事業所を合算した従業員数が21人以上の事業者。
  • いずれかの第一種指定化学物質の年間取扱量が1トン以上の事業所を有する事業者
    対象物質の年間製造量と年間使用量を合計した量。
    特定第一種指定化学物質は0.5トン以上。
  • 政令で指定されている24種類の業種を営んでいる事業者
    政令で指定されている24種類の業種は下記「対象業種一覧表」参照。
    兼業している業種が1つでも該当する場合も対象事業者となります。
    対象業種一覧表
  • 金属鉱業
  • 原油・天然ガス鉱業
  • 製造業
  • 電気業
  • ガス業
  • 熱供給業
  • 下水道業
  • 鉄道業
  • 倉庫業
    *農作物を保管する場合、貯蔵タンクに気体又は液体を貯蔵する場合に限る
  • 石油卸売業
  • 鉄スクラップ卸売業
    *自動車用エアコンディショナーに封入された物質を取り扱うもの
  • 自動車卸売業
    *自動車用エアコンディショナーに封入された物質を取り扱うもの
  • 燃料小売業
  • 洗濯業
  • 写真業
  • 自動車整備業
  • 機械修理業
  • 商品検査業
  • 計量証明業
    *一般計量証明業を除く
  • 一般廃棄物処理業
    *ごみ処分業に限る
  • 産業廃棄物処理業
    *特別管理産業廃棄物処分業を含む
  • 医療業
  • 高等教育機関
    *付属施設を含み、人文科学のみに係るものは除く
  • 自然科学研究所

PRTR制度の届出事項

対象事業者は所有する事業所の第一種指定化学物質の排出量および移動量を把握し、年度ごとに国に届け出ることになっており、事業所の所在地ごとに都道府県を経由して行うこととなっています。
届出は所定の事項および様式が定められており、こちらに基づいて届出を行わなければなりません。
具体的には、以下のような事項です。

    届出者の企業情報
  • 事業者名
  • 事業所名及び所在地
  • 事業所において常時使用される従業員の数
  • 事業所において行われる事業が属する業種
    排出量・移動量
  • 第一種指定化学物質ごとの排出量及び移動量

PRTR制度の排出量算出方法

握対象年度1年間において、第1種指定化学物質が環境(大気・公共用水域・土壌)へ排出される量および対象物質を含む廃棄物が事業所外へ移動される量について、算出し、届け出ることとなっています。

しかし排出量などの数値は実測では正しく測れない場合があるため、他の規制制度などとは異なり、実測以外の方法でも排出量を算出して良いことになっています。
具体的には下記のような方法で算出が可能です。

  • 物質収支を用いる方法
  • 実測値を用いる方法
  • 排出係数を用いる方法
  • 蒸気圧、溶解度等の物性値を用いる方法

その他、的確に排出量を算出できると認められる方法でも算出が可能です。
算出の具体的なマニュアルは下記サイトをご参照下さい。

排出量算出マニュアル
「経済産業省ホームページ」より参照。

SDSの対象範囲は?

安衛法に基づくラベル表示及びSDSの交付に係る規定の対象は国内の「労働者」及び「譲渡し、又は提供する相手方」であり、海外に輸出する物については本条の適用対象外となることから、安衛法上の義務付けはありません。

SDS制度の対象物質は?

化管法第14条に規定する化管法SDS制度対象となる化学物質は、「第一種指定化学物質」及び「第二種指定化学物質」として定義されています。 具体的には、人や生態系への有害性(オゾン層破壊性を含む)があり、環境中に広く存在する又は将来的に広く存在する可能性があると認められる物質として、計562物質が指定されています。

SDSとMSDSの違いは?

なお、「SDS」(Safety Data Sheet 安全データシート)はGHSで用いられている呼称、「MSDS」 (Material Safety Data Sheet 化学物質等安全データシート)は我が国のJISや中央省庁のほかいくつか の国で用いられている呼称で、指し示すものは同じです。

SDSの必須項目は?

(SDSには、日本語で、以下の事項を記載しなければなりません。).
1 製品及び会社情報 製品名、SDSを提供する事業者の名称、住所、担当者の連絡先等.
2 危険有害性の要約※1..
3 組成及び成分情報※2. ... .
4 応急措置.
5 火災時の措置.
6 漏出時の措置.
7 取扱い及び保管上の注意.
8 暴露防止及び保護措置.

SDS