解糖系の第一段階でグルコースのリン酸化で生成する化合物は何か?

■解糖系[glycolytic pathway]
解糖系は,細胞内に取り込まれたグルコースが,ピルビン酸あるいは乳酸に代謝される経路を指し,10あるいは11段階の反応からなる(図1).グリコーゲン分解で生じたグルコース 6-リン酸も,解糖系に合流する.これらの反応はすべて細胞質で行われる.この経路は酸素を消費することなく補酵素NAD+がグルコースを酸化し,嫌気的な条件でもグルコースが乳酸まで代謝される間に,差し引き2分子のATPを生成する.
解糖系の主要な役割は,ATPの生成である.ATPとはアデノシン三リン酸のことで,生体内の代表的な高エネルギー分子として働いている.ATPは,心筋や骨格筋などの筋肉が収縮するエネルギーとして,また代謝経路を構成する化学反応のなかには自然に起こりにくいものがあるが,こうした化学反応を進めるためのエネルギーとして用いられている.

解糖系の第一段階でグルコースのリン酸化で生成する化合物は何か?

図1 ●解糖系の反応
(文献2-2-2より引用)

関連キーワード
  • [1] 解糖系[glycolytic pathway]
  • [2] クエン酸回路[citric acid cycle]
  • [3] 電子伝達系[electron transport chain]
  • [4] 糖新生系[gluconeogenesis]
  • [5] グリコーゲンの代謝[glycogen metabolism]
  • [6] ペントースリン酸回路[pentose phosphate cycle]
  • [7] グルクロン酸経路[glucuronic acid cycle]
  • [8] グリセミック・インデックス[glycemic index]

18-99.ヒト体内での糖質代謝に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)解糖経路を構成する酵素によって触媒される反応は、すべて可逆的に進行する。
(2)ペントースリン酸回路(ヘキソース-リン酸経路)は、NAD+の還元型(NADH)の生産に役立っている。
(3)クエン酸回路(TCA回路)は、グルコース以外の化合物から生成したアセチルCoAのアセチル基を代謝することができない。
(4)グリコーゲンが伸長する時には、グルコース残基はADP-グルコースから供給される。
(5)グルクロン酸経路(ウロン酸回路)は、グルクロン酸抱合に用いられるUDP-グルクロン酸の生産に役立っている。

(1)解糖と糖新生は単なる逆反応でないことについての説明は要らないだろう。単なる逆反応だと思っている人は、生化学の教科書の糖質代謝の部分を最初から読み直そう。糖新生にあって解糖にない酵素はオキサロ酢酸からホスホエノールピルビン酸を作るホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ、フルクトース-1,6-ビスリン酸からフルクトース-6-リン酸を作るフルクトース-1,6-ビスホスファターゼ、グルコース-6-リン酸からグルコースを作るグルコース-6-ホスファターゼの3つだ。その他の酵素は可逆的に進行する。

(2)解糖の中間体であるグルコース-6-リン酸から6-ホスホグルコン酸ができて、次にリボース-5-リン酸ができて、あと何段階かあって、最終的にフルクトース-6-リン酸とグリセルアルデヒド-3-リン酸になって解糖に戻る。これをペントースリン酸経路という。ペントースリン酸経路の役割は2つだ。1つはグルコース-6-リン酸から6-ホスホグルコン酸ができるときにNADPHを産生することであり、もう1つは核酸の材料であるリボース-5-リン酸の産生だ。酸化還元反応に関係する補酵素にはNADPHとNADHがあるが、それぞれ使われる反応が異なる。解糖とクエン酸回路ではNADHが作られ、ミトコンドリアに電子を運ぶ役割を果たしている。NADPHは主に脂肪酸やコレステロールを合成するときに使われる

(3)解糖だけでなく、脂肪酸のbeta酸化やアミノ酸の代謝で生じるアセチルCoAもクエン酸回路に入って代謝される。

(4)グリコーゲンが伸長する時には、グルコース残基はUDP-グルコースから供給される。グリコーゲン合成酵素はUDP-グルコースのグルコース部分をすでに存在するグリコーゲンの末端にalpha(1→4)結合によって重合させる。

(5)解糖の中間体であるグルコース-6-リン酸からグルコース-1-リン酸になって、次にUDP-グルコースになって、次にUDP-グルクロン酸になって、あと何段階かあって、最終的にキシルロース-5-リン酸になってペントースリン酸経路に入る。この回路をウロン酸回路という。この経路の中間体であるUDP-グルクロン酸はグルクロン酸抱合でのグルクロン酸供与体である。

正解(5)

by kanri-kokushi | 2006-01-06 09:51 | 第18回国家試験 | Comments(0)

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16-99.高エネルギーリン酸化合物に関する記述である。正しいものの組合せはどれか。
a ヒト体内に存在する高エネルギーリン酸化合物は、すべてプリンヌクレオシド三リン酸又はピリミジンヌクレオシド三リン酸である。
b 解糖系における高エネルギーリン酸化合物の生産には、酸化還元反応は関与しない。
c クエン酸回路(TCAサイクル)には、基質準位(基質レベル)のリン酸化による高エネルギーリン酸化合物の生成反応が含まれている。
d ミトコンドリア内膜には、水素イオンの濃度勾配を利用して高エネルギーリン酸化合物を生産する酵素が存在する。
(1)aとb (2)aとc (3)bとc (4)bとd (5)cとd

①炭素の酸化と還元について考えてみよう
植物は水(H2O)と二酸化炭素(CO2)からグルコース(C6H12O6)と酸素(O2)を合成する。二酸化炭素とグルコースの炭素と酸素の比に注目すると1:2であったものが、1:1になっている。つまり炭素から酸素を引きはがしたことになり、言い換えると炭素が還元されたことになる。この反応は吸エルゴン反応で外からエネルギーを注入しなければ進行しない。そのエネルギーは太陽からやってくる光によって供給される。こうして光エネルギーがグルコースの中に化学エネルギーとして蓄えられる。
私たちはグルコースを水と二酸化炭素に分解するときに放出されるエネルギーを利用して生きている。これは、乱暴な言い方をすれば、炭素に酸素をくっつけていく反応で、言い換えると炭素が酸化されたことになる。これは発エルゴン反応である。エルゴンとはギリシャ語で「仕事」を意味する。発エルゴン反応とは外に向かってエネルギーを放出し、仕事を行うことができる反応である。
グルコースが解糖、クエン酸回路、電子伝達系によって水と二酸化炭素に分解される過程は、炭素から見ると酸化反応である。炭素は酸素を受け取り換わりに電子を与える。電子は最終的に酸素に渡され水ができる。つまり、グルコースが分解される過程は酸素から見ると還元反応である。よって、解糖、クエン酸回路、電子伝達系のいずれの過程においても酸化還元反応が関与している。

②高エネルギーリン酸化合物
リン酸が1つ2つ3つとつながっていくと、なぜ高エネルギー化合物になるんだろうか。リン酸には負の電荷をもった酸素がたくさん付いているよね。それらの酸素は互いに反発しあっている。それを狭い所に押し込めた状態を想像すればいい。窮屈な時はエネルギーが内にこもっていて、広い所に出ると手足をのばして発散するよね。リン酸のエネルギーも同じことだ。リン酸が2つ3つとつながると窮屈でエネルギーが蓄えられ、リン酸の結合が切れるときにエネルギーを放出するんだ。
さて、ヒトの体内に存在する高エネルギーリン酸化合物だが、プリンヌクレオシド三リン酸(ATP、GTP)とピリミジンヌクレオシド三リン酸(CTP、TTP、UTP)だけでなく、解糖の中間体であるホスホエノールピルビン酸1,3-ビスホスホグルセリン酸も高エネルギーリン酸化合物である。リン酸のやり取りによって上手にエネルギーを引き出しているんだね。

③基質レベルのリン酸化と酸化的リン酸化
教科書でクエン酸回路の図を見てみよう。スクシニルCoAからコハク酸ができるときGDPがリン酸化されてGTPができているでしょう。これが「基質準位(基質レベル)のリン酸化による高エネルギーリン酸化合物の生成反応」だよ。
電子がミトコンドリア内膜の電子伝達系で運ばれて行く時、プロトン(H+)がマトリックスから内膜と外膜の隙間に汲み出され、H+の濃度勾配ができる。汲み出されたH+はATP合成酵素があるところでマトリックスに戻ってくる。ATP合成酵素を水車に例えると、H+が濃度勾配に従って流れ落ちてくるのを利用して水車を回転させ、その回転のエネルギーを利用してADPにリン酸をくっつけてATPを合成している。このようなリン酸化を「酸化的リン酸化」という。電子伝達系では電子は最終的に酸素に渡され、酸素が消費される(水になる)ことから「酸化的」という言葉で、基質レベルのリン酸化と区別しているんだ。

正解はcとdが正しいので(5)

全国統一模擬試験によく似た問題が出ていたね。できたかな?

by kanri-kokushi | 2007-02-16 18:32 | 第16回国家試験 | Comments(0)

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「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 のうち 「B 糖質の代謝」 の練習問題と解答・解説です.

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4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝 B 糖質の代謝 12問 問題
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1 解糖系に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 解糖系の反応は, ミトコンドリア内膜上で進む.
(2) グルコースは, 解糖系で嫌気的に代謝され, アセチルCoAとなる.
(3) 解糖系では, 1分子のグルコースから2分子のピルビン酸または乳酸が生成する.
(4) 解糖系では, グルコース1分子当たりATPが38分子生成される.
(5) 乳酸脱水素酵素は, ピルビン酸を酸化して乳酸を生成する.

2 解糖系に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) グルコースが解糖系によって嫌気的に代謝されると, クエン酸が生成する.
(2) ヘキソキナーゼは, 解糖系の律速酵素である.
(3) 解糖系の第一段階は, グルコースとアセチルCoAの結合である.
(4) 解糖系を構成する酵素によって触媒される反応は, すべて可逆的に進行する.
(5) 解糖系における高エネルギーリン酸化合物の生産には, 酸化還元反応は関与しない.

3 解糖系に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) オキサロ酢酸とピルビン酸は, ともにアセチルCoAから生成する.
(2) 解糖系においてATPを用いるリン酸化反応は, マグネシウムイオンを必要とする.
(3) フルクトース, ガラクトースは, ともに解糖系とは別の経路に入り分解される.
(4) グリセロールは, グリセロール 3-リン酸からグリセルアルデヒド 3-リン酸となり, 解糖過程に入る.
(5) グルコースは, 解糖系, ペントースリン酸回路, 糖新生の中間体である.

4 クエン酸回路に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 解糖系とクエン酸回路を構成する酵素反応は, いずれもミトコンドリア内で進行する.
(2) ピルビン酸は, ミトコンドリア膜を通過できない.
(3) ピルビン酸は, 細胞質でアセチルCoAになる.
(4) 3-ヒドロキシ酪酸は, クエン酸回路の中間体である.
(5) クエン酸回路は, トリカルボン酸のみで構成される.

5 クエン酸回路に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) クエン酸回路には, 基質と酸素分子との反応過程がある.
(2) クエン酸回路には, 基質準位のリン酸化による高エネルギーリン酸化合物生成反応は存在しない.
(3) α-ケトグルタル酸は, クエン酸回路の中間体である.
(4) クエン酸回路は, グルコース以外の化合物から生成したアセチルCoAのアセチル基を代謝できない.
(5) アセチルCoAは, ピルビン酸と反応してクエン酸回路に入る.

6 クエン酸回路に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) ピルビン酸脱水素酵素複合体は, ビタミンB6の補酵素型を補酵素とする.
(2) ピルビン酸脱水素酵素複合体は, パントテン酸の補酵素型を補酵素とする.
(3) クエン酸回路には, クレアチンリン酸を産生する過程がある.
(4) クエン酸回路では, 脱水素反応によってNAD+とFADが生成する.
(5) ピルビン酸は, クエン酸回路および脂質合成経路の中間体である.

7 ペントースリン酸回路に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) ペントースリン酸回路は, ミトコンドリア内に存在する.
(2) ペントースリン酸回路は, クエン酸回路の側路である.
(3) ペントースリン酸回路は, ペントースリン酸を分解するための代謝経路である.
(4) グルコースがペントースリン酸回路によって代謝される際に, NADH+H+が生成する.
(5) 核酸の五炭糖部分は, ペントースリン酸経路で供給される.

8 ペントースリン酸回路およびウロン酸回路に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) ペントースリン酸回路は, 脂肪酸の合成に必要なNADPH+H+の供給に役立っている.
(2) ペントースリン酸回路では, グルコース1モルあたり3モルのATPが生じる.
(3) ペントースリン酸回路は, 主にエネルギーを消費する心筋や骨格筋で機能している.
(4) 脂肪組織には, ペントースリン酸回路は存在しない.
(5) ウロン酸回路は, 核酸合成のためのリボースを供給する.

9 グリコーゲン合成に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) グリコーゲンの合成には, エネルギー源としてATPが用いられる.
(2) グリコーゲン合成酵素の反応では, UDP-グルコースからグルコース残基が供給される.
(3) グリコーゲン合成において, UDP-グルコースはグリコーゲン鎖の還元末端に α-1,4 結合する.
(4) グリコーゲン合成酵素は, アドレナリンによって活性化される.
(5) グリコーゲンの合成にあたっては, 分枝酵素によって特有の樹状構造を形成する.

10 グリコーゲン合成に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) グルカゴンは, グリコーゲン分解を抑制する.
(2) 肝臓には, グルコース-6-ホスファターゼが存在する.
(3) グリコーゲンが加リン酸分解されると, グルコース 6-リン酸が生成する.
(4) グリコーゲンホスホリラーゼは, リン酸化により不活性化される.
(5) 細胞内でのグリコーゲンの分解は, 分岐部に達すると停止する.

11 糖新生に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 乳酸, ピルビン酸, オキサロ酢酸, グリセロール, 脂肪酸などからグルコースが合成されることを, 糖新生という.
(2) 糖新生は, 細胞質で進行する.
(3) グルコース-6-ホスファターゼは, 解糖系の律速酵素である.
(4) グルカゴンは, 糖新生を抑制する.
(5) 骨格筋細胞は, 脂肪酸をグルコースに変換する作用をもつ.

12 糖質の代謝に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) ラクトースの生合成は, UDPグルコースからUDPガラクトースを経てなされる.
(2) 乳腺では, UDP-ガラクトースはUDP-グルコースと縮合してフルクトースとなる.
(3) アセチルCoAは, 糖新生およびクエン酸回路の中間体である.
(4) 骨格筋では, グルコース 6-リン酸がグルコースに変換される.
(5) 骨格筋のグリコーゲンから, 血糖が供給される.

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4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝 B 糖質の代謝 12問 解答と解説
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1=(3)
(1) 誤 解糖系は, 細胞質に存在する代謝経路である.
(2) 誤 解糖系は, 無酸素 (嫌気的) 条件ではグルコース1分子から乳酸2分子を生成する.
(3) 正 解糖系は, 有酸素 (好気的) 条件ではグルコース1分子からピルビン酸2分子を生成する.
(4) 誤 解糖系では, 基質レベルのリン酸化により2分子のATPが産生される.
(5) 誤 嫌気的条件下では, 乳酸脱水素酵素とNADHによりピルビン酸が還元されて, 乳酸が生成する.

2=(2)
(1) 誤 嫌気的条件下では, 乳酸脱水素酵素とNADHによりピルビン酸が還元されて, 乳酸が生成する.
(2) 正 骨格筋のヘキソキナーゼや肝臓のグルコキナーゼは, 解糖系の律速酵素である.
(3) 誤 解糖系の第一段階は, ヘキソキナーゼやグルコキナーゼによるグルコースのリン酸化 (グルコース 6-リン酸の生成) である.
(4) 誤 解糖系を構成する酵素によって触媒される反応は, 律速酵素が関与する3か所のみ不可逆的に進行する.
(5) 誤 解糖系における高エネルギーリン酸化合物の生産には, 酸化還元反応が関与する.

3=(2)
(1) 誤 オキサロ酢酸とアセチルCoAは, ともにピルビン酸から生成する.
(2) 正 解糖系においてATPを用いるリン酸化反応は, マグネシウムイオンを必要とする.
(3) 誤 フルクトース, ガラクトースは, ともに解糖系に入り分解される.
(4) 誤 グリセロールは, グリセロール 3-リン酸からジヒドロキシアセトンリン酸となり, 解糖過程に入る.
(5) 誤 グルコース 6-リン酸は, 解糖系, ペントースリン酸回路, 糖新生の中間体である.

4=(1)
(1) 正 クエン酸回路の酵素はミトコンドリア内に存在する.
(2) 誤 ピルビン酸は, ミトコンドリア膜を通過できる.
(3) 誤 ピルビン酸は, ミトコンドリアマトリックスでアセチルCoAになる.
(4) 誤 ケトン体の1つである 3-ヒドロキシ酪酸は, クエン酸回路を構成する中間体ではない.
(5) 誤 クエン酸回路には, トリカルボン酸のほかジカルボン酸 (α-ケトグルタル酸, コハク酸など) も存在する.

5=(3)
(1) 誤 解糖系やクエン酸回路には, 基質と酸素分子との反応過程はない.
(2) 誤 クエン酸回路には, 基質レベルのリン酸化による高エネルギーリン酸化合物 (GTP) 生成反応が存在する.
(3) 正 α-ケトグルタル酸は, クエン酸回路を構成する中間体である.
(4) 誤 クエン酸回路は, グルコースの解糖や脂肪酸のβ酸化によるアセチルCoAのアセチル基を酸化 (代謝) する.
(5) 誤 アセチルCoAは, オキサロ酢酸と反応してクエン酸回路に入る.

6=(2)
(1) 誤 ピルビン酸脱水素酵素複合体は, ビタミンB1の補酵素型 (チアミン二リン酸) を補酵素とする.
(2) 正 ピルビン酸脱水素酵素複合体は, パントテン酸の補酵素型 (アセチルCoA) を補酵素とする.
(3) 誤 クエン酸回路には, クレアチンリン酸を産生する過程はない.
(4) 誤 クエン酸回路では, 脱水素反応によってNADH+H+とFADH2が生成する.
(5) 誤 アセチルCoAは, クエン酸回路および脂質合成中間体である.

7=(5)
(1) 誤 ペントースリン酸回路は, 細胞質に存在する.
(2) 誤 ペントースリン酸回路は, 解糖系の側路である.
(3) 誤 ペントースリン酸回路は, ペントースリン酸 (リボース 5-リン酸) およびNADPH+H+を生成する.
(4) 誤 グルコースがペントースリン酸回路によって代謝される際に, NADPH+H+が生成する.
(5) 正 ペントースリン酸回路で生成するリボース 5-リン酸は, 核酸の五炭糖部分になる.

8=(1)
(1) 正 ペントースリン酸回路で生成するNADPH+H+は, 脂肪酸やコレステロールの合成に利用される.
(2) 誤 ペントースリン酸回路では, ATPは生じない.
(3) 誤 ペントースリン酸回路は, 主にエネルギーを消費する心筋や骨格筋では機能していない.
(4) 誤 ペントースリン酸回路は, 肝臓, 脂肪組織, 副腎皮質, 赤血球などで機能している.
(5) 誤 ウロン酸回路は, グルクロン酸抱合に用いられるUDP-グルクロン酸の生産に役立っている.

9=(2)かつ(5)
(1) 誤 グリコーゲンの合成には, エネルギー源としてUTPが用いられる.
(2) 正 グリコーゲン合成酵素の反応では, UDP-グルコースからグルコース残基が供給される.
(3) 誤 グリコーゲン合成において, UDP-グルコースはグリコーゲン鎖の非還元末端に α-1,4 結合する.
(4) 誤 グリコーゲン合成酵素は, グルカゴンやアドレナリンによって抑制される.
(5) 正 グリコーゲンの合成にあたっては, 分枝酵素によって特有の樹状構造を形成する.

10=(2)
(1) 誤 グルカゴンは, 肝臓のグリコーゲン分解を促進するが, 筋肉のグリコーゲン分解には関与しない.
(2) 正 肝臓には, グルコース-6-ホスファターゼが存在する.
(3) 誤 グリコーゲンホスホリラーゼは, グリコーゲンを加リン酸分解してグルコース 1-リン酸を生成する.
(4) 誤 グリコーゲンホスホリラーゼは, リン酸化により活性化される.
(5) 誤 グリコーゲンの分岐部の分解には, 脱分枝酵素が関与する.

11=(2)
(1) 誤 乳酸, ピルビン酸, オキサロ酢酸, グリセロール, 糖原性アミノ酸などからグルコースが合成されることを, 糖新生という.
(2) 正 糖新生は, 細胞質で進行する.
(3) 誤 糖新生の酵素であるグルコース-6-ホスファターゼは, 肝臓でグルコース 6-リン酸を脱リン酸化してグルコースを生成する.
(4) 誤 グルカゴンは, 糖新生を促進する.
(5) 誤 脂肪酸やそのβ酸化物であるアセチルCoAは, 糖新生の基質とはならない.

12=(1)
(1) 正 授乳中の乳腺では, UDPグルコースからUDPガラクトースが合成され, グルコースと脱水縮合してラクトースとなる.
(2) 誤 乳腺におけるラクトースの生合成では, グルコースとUDPガラクトースが縮合してラクトースとなる.
(3) 誤 オキサロ酢酸は, 糖新生およびクエン酸回路の中間体である.
(4) 誤 肝臓では, グルコース 6-リン酸がグルコースに変換される.
(5) 誤 骨格筋にはグルコース-6-ホスファターゼが存在しないので, 骨格筋のグリコーゲンからは血糖は供給されない.

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次回は, 「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 のうち 「C 脂質の代謝」 の穴埋め問題と正文集です.

解糖系でグルコースから生じるのはどれか?

(2)グルコース解糖系によって嫌気的に代謝されると、クエン酸が生成する。

グリコーゲン合成で、ホスホグルコムターゼによって生成する物質は何か?

糖新生を行い、生成したグルコースを血液中に放出できるのは、肝臓と腎臓だけである。 (3)× グリコーゲンが加リン酸分解されると、グルコース‐1‐リン酸が生成する。 グルコース‐1‐リン酸は、ホスホグルコムターゼの作用でグルコース‐6‐リン酸となり、解糖系に入る。 (4)× ペントースリン酸経路は、解糖系の側路である。

解糖系の出発物質は?

筋肉など大部分の組織はグリコーゲンを貯蔵しているので,解糖はグリコーゲンから始まる。 この場合,グリコーゲンの分解で得られるグルコース6-リン酸(G-6-P)から出発するのでグルコース単位当たり3分子のATPがつくられる。

解糖系の段階は?

解糖系は2段階に分けられ、第1段階はグルコースや他のがATP(アデノシン三リン酸)を消費してリン酸化され、グリセルアルデヒド-3-リン酸となる始動段階である(反応5まで)。 第2段階ではNADの還元を伴う無機リン酸の取り込みがあり、高エネルギーリン酸中間体を経てATPが生成される。