1級建築士 令和3年問題 学科Ⅴ施工 2021 (R03) /9/18 Show 1R03Ⅴ【問21】 1.銅板葺屋根に取り付ける軒樋については、耐候性を考慮して、銅との電位差が大きい溶融亜鉛めっき鋼板製のものとした。 2.防火区画の壁を貫通するダクトにおいて、防火区画に近接して防火ダンパーを設けるに当たり、当該防火ダンパーと当該防火区画との間のダクトは、厚さ1.6mmの鉄板で造られたものとした。 3.金属板による折板葺において、タイトフレームと受け梁との接合については、風による繰返し荷重による緩みを防止するため、ボルト接合とせずにすみ肉溶接とした。 4.軽量鉄骨間仕切壁内に配管する合成樹脂製可とう電線管(PF管)については、バインド線を用いて支持し、その支持間隔を1.5m以下とした。 × 1.(H16問22-4類似問題) スポンサーサイト 2021-09-18 05:43 : 1級建築士 : コメント : 0 : トラックバック : 0 : ↑ 注:最新の令112条はこちらの記事でご確認ください。記事内の項ずれは適宜読み替えてください。ご不便をおかけしますがご了承ください。 平成30年の法改正で防火区画関連の条文の削除や修正があります。法改正経緯を残すという意味で、記事はそのままにします。 実際の正確な条文は、参考記事や最新の法令集で確認してください。 参考記事: 平成30年改正のパブコメで政令などの改正内容を先取り 法改正による条文ズレには気をつけよう:平成30年9月 この記事の目次
区画を貫通するダクトと外壁開口部に接続するダクトの措置の違い防火区画を貫通する設備配管に関する基本事項は、以下の記事にまとめてあります。 防火避難規定 防火区画 区画する防火設備や配管設備の措置について この記事では上記の基本を踏まえつつ、法令集や告示を読み込まないとわかりにくい部分、勘違いしやすい部分をまとめました。 延焼の恐れのある部分に接続するダクトに対する措置防火、準防火地域内の建築物、または耐火、準耐火建築物は、延焼の恐れのある部分の外壁の開口部には防火設備を設けなければなりません。 換気ダクトの出口も外壁の開口部ですから、当然防火設備を設ける必要があります。 設置する目的は、外部からの火災による延焼を防止するためです。 また、防火設備の仕様は、平成12年建設省告示1360号に規定されています。 防火設備の構造方法を定める件 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第九号の二ロの規定に基づき、防火設備の構造方法を次のように定める。 第一 建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百九条の二に定める技術的基準に適合する防火設備の構造方法は、次に定めるものとする。 二 次のイからホまでのいずれかに該当する構造とすること。 三 前号イ又はニに該当するものは、周囲の部分(防火戸から内側に十五センチメートル以内の間に設けられた建具がある場合においては、その建具を含む。)が不燃材料で造られた開口部に取り付けなければならない。 四 開口面積が〇・五平方メートル以内の開口部に設ける戸で、防火塗料を塗布した木材及び網入りガラスで造られたもの 第二 第一に定めるもののほか、防火戸が枠又は他の防火設備と接する部分は、相じゃくりとし、又は定規縁若しくは戸当りを設ける等閉鎖した際にすき間が生じない構造とし、かつ、防火設備の取付金物は、取付部分が閉鎖した際に露出しないように取り付けなければならない。 ここで、「確か100φのダクトはFDにしなくてもよかったような」と気付いた方もいらっしゃることでしょう。 その根拠は特定防火設備について規定した、平成12年建設省告示1369号です。 そのなかの、第1第7号に次のように記載されています。 七 100φのダクトの開口面積は、円の面積の公式から、5x5x3.14=78.5cm2となりますから、100cm2以内です。 単純に「100φは不要で、それを超えると必要」という覚え方では、不十分ということです。 ちなみに150φのダクトの開口面積は、7.5×7.5×3.14=176.6cm2となり、100cm2を超えているため告示1369号の条件には該当せず、FDを設けなければなりません。 防火区画、防火上主要な間仕切りを貫通するダクトに対する措置防火区画や防火上主要な間仕切りを貫通するダクトに対する措置は、建物内での火災の延焼を防止することを目的として、要求されています。 法36条を親玉として、令112条16項(防火区画)、令114条5項(界壁、間仕切り、隔壁)に規定され、その仕様を規定しているのが昭和48年建設省告示2565号です。 昭和48年建設省告示2565号 昭和四十八年十二月二十八日 建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百十二条第十六項の規定に基づき、防火区画を貫通する風道に設ける防火設備の構造方法を次のように定める。 建築基準法施行令第百十二条第十六項に掲げる要件を満たす防火設備の構造方法は、次の各号に定める場合に応じ、それぞれ当該各号に定めるものとする。 一 二 主要構造部を準耐火構造とし、かつ、地階又は三階以上の階に居室を有する建築物において、二以上の階に換気口等(空気吹出口又は空気吹込口をいう。以下同じ。)を有する同一系統の風道が、換気口等を有する階の直上の耐火構造等の防火区画である床を貫通する場合(二以上の階にわたり煙が流出するおそれのない場合その他避難上及び防火上支障がないと認められる場合を除く。) 前号に定める構造方法 三 前二号以外の場合 次のいずれかに定める構造の防火ダンパーとすること。 イ
鉄製で、昭和四十八年建設省告示第二千五百六十三号第一第二号ハからトまでに掲げる基準(同号ニ(2)(i)及びヘ(1)に掲げる基準にあつては、「防火戸」とあるのは、「防火ダンパー」と読み替えるものとする。)に適合する構造で、かつ、別記に規定する漏煙試験に合格したもの 平成12年建設省告示1376号 平成十二年五月二十六日 建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百十二条第十六項の規定に基づき、防火区画を貫通する風道に防火設備を設ける方法を次のように定める。 第一 要求される貫通措置について簡単にまとめると
となります。 ここまで読んでくるとわかりますが、防火区画を貫通するダクトに求められる措置と、延焼の恐れのある部分にある外壁の開口部に求められる措置は全くの別物です。 しかし、「100φのダクトはFD不要」とだけ覚えていると、区画貫通措置も不要としてしまう可能性がありますので、正しく理解しておかなければなりません。 また、防火設備、特定防火設備という言葉だけを追っても、同様なミスを犯す恐れがあります。 令112条の14項、15項、16項はそれぞれ別物として考えておく必要があります。 大変面倒ですが、一度法令集とそこから繋がる告示を読めばなんとなく頭の片隅に残るはずです。 配管設備の区画貫通措置の補足樹脂製の給水管(給湯)が区画を貫通する場合給水管、配電管等が防火区画等を貫通する部分の措置については、令129条の2の5第1項7号に記載されています。 この号のイロハのいずれかに適合する構造としなければなりませんが、その配管の樹脂がポリエチレン管やポリブテン管のような可燃性樹脂の場合は、ハの認定工法を採用するしかありません。 (給水、排水その他の配管設備の設置及び構造) イでは、不燃材料で造ることが要求されており、不可です。 したがって、残されたハの認定工法以外、対応策が無いということになります。 機械排煙のための排煙ダクトが区画を貫通する場合排煙設備のダクトが同一階のみの防火区画を貫通する場合は、貫通部分には防火ダンパーを設置する必要はありません。 もし設置してしまうと、当然ダクトが閉鎖されますから、火災の初期段階における排煙機能を妨げることになってしまいます。 ただし、排煙設備のダクトが上下階に渡る場合は事情が異なります。 排煙設備のダクトが上下階に渡る場合は、そのダクトは防火区画されたダクトスペースを通り排煙機に接続されるように設計する必要があります。 そしてその縦ダクトに、フロアごとのダクトが接続する部分は防火区画となっている壁を貫通しますから、その部分に温度ヒューズ付き防火ダンパーを設置します。 排煙ダクトが上下階に渡る場合は、上階等に火災を拡大させないために、排煙温度が高温に達した場合には温度ヒューズ付き防火ダンパーが作動して、密閉防煙へと移行させるわけです。 設備設計で必須の参考図書この記事の作成にあたり、参考にした書籍は建築設備設計・施工上の運用指針 2013年版です。 残念ながら、Amazonや楽天といった通販では入手できませんので、全国官報販売協同組合より購入してください。 設備設計の方はすでにお持ちだと思いますが、意匠設計の方も設備設計者まかせにせず、ひと通りは押さえておくほうが設計もスムーズに進むと思います。 |