場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点

高い施工精度と大深度施工を可能にする

オールケーシング工法とは

オールケーシング工法は、ケーシングチューブを掘削孔全長にわたり回転圧入しながら地盤を切削し、ケーシングチューブ内の土砂をハンマグラブにて掘削・排土を行います。そのため、粗石、巨石、岩盤や、既存杭などの地中障害物などを含む地盤でも施工が可能です。また、拡底杭工法との併用施工も可能です。

特長

  • ケーシングチューブを全長にわたり使用するため、高い施工精度を確保することが可能です。
  • ケーシングチューブを全長にわたり使用するため、孔壁崩壊の心配がありません。
  • ケーシングチューブを回転・圧入することで、粗石、巨石、岩盤、鉄筋コンクリート、鋼材等の切削が可能です。
  • 信頼性の高いクサビ型チャック装置と最大級の回転力および引抜き力により、大深度施工が可能です(地盤条件に応じて施工深度は異なります)。

施工順序

場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点

Photo

場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点

全周回転機RT-320

場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点

掘削状況

ファーストケーシングチューブ概要図

場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点

※(a),(b),(c)は下図をご参照ください

ケーシングチューブの形状と施工機械適用範囲

ケーシングチューブ径(mm)施工機械 (RT-)
ケーシングチューブ外刃150AⅡ200AⅢ200H260H300A320
呼称径内径(a)外径(b)外径(c)
1,000 890 980 1,000
1,100 990 1,080 1,100
1,200 1,090 1,180 1,200
1,300 1,190 1,280 1,300
1,500 1,390 1,480 1,500
1,600 1,490 1,580 1,600
1,800 1,690 1,780 1,800
2,000 1,890 1,980 2,000
2,300 2,200 2,300 2,320
2,500 2,360 2,480 2,500
2,800 2,660 2,780 2,800
3,000 2,860 2,980 3,000
3,200 3,080 3,200 3,220

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場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点

こんにちは、ちゃんさとです。

今回のテーマは【場所打ち杭工法の種類】です。

基礎工のうち、杭基礎は

  1. 既製杭基礎(木杭、RC杭、PHC杭、SC杭、鋼杭)
  2. 場所打ち杭(オールケーシング、リバース、アースドリル、深礎)

の2つに分けられます。

そのうちのひとつである場所打ち杭工法を分類するとこんな感じ 😛

人力・機械掘削 深礎工法
機械掘削 オールケーシング工法

リバース工法

アースドリル工法

場所打ち杭工法のそれぞれの特徴や、工法の流れなどをまとめましたので参考にしてください。

それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次から確認してください。

この記事を書いている人

場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点

  • 元公務員(土木)の主婦ブロガー💻(水道・ダム・道路・河川・砂防の工事経験あり)
  • 国立大学★土木工学科卒業
  • 大学卒業後、某県庁の公務員(土木)として7年間はたらきましたが、人間関係のストレスや組織体制が合わないと感じて退職しました。
  • 1級土木施工管理技士の資格もち
  • 今はブログで土木、土木施工管理技士の勉強方法や公務員のあれこれ、仕事をメインにさまざまな情報発信をしています。

もくじ

  • 1 場所打ち杭工法の種類
    • 1.1 オールケーシング工法
      • 1.1.1 オールケーシング掘削機
      • 1.1.2 オールケーシング工法の特徴や留意点
    • 1.2 アースドリル工法
      • 1.2.1 アースドリル掘削機
      • 1.2.2 アースドリル工法の特徴や留意点
    • 1.3 リバース工法
      • 1.3.1 リバース掘削機
      • 1.3.2 リバース工法の特徴や留意点
    • 1.4 深礎工法
  • 2 場所打ち杭工法の比較
  • 3 まとめ
        • 3.0.0.1 ケーソン基礎工法まとめ★種類やちがいをかんたん解説
        • 3.0.0.2 既製杭工法の種類&特徴★杭基礎【打込み杭工法&埋込み杭工法】

場所打ち杭工法の種類

場所打ち杭工法は主に4種類です。

場所打ち杭工法の種類

  1. オールケーシング工法
  2. アースドリル工法
  3. リバース工法
  4. 深礎工法

場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点

オールケーシング工法

オールケーシング工法とは、チュービング装置によるケーシングチューブの揺動圧入とハンマグラブなどにより掘削を行う工法です。

オールケーシング掘削機

場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点

オールケーシング掘削機の大きな特徴は、掘削孔全長にわたりケーシングチューブがあることです。

チュービング装置によるケーシングチューブの揺動圧入または、回転圧入とハンマグラブにより、チューブ内の掘削をおこないます。

オールケーシング工法の特徴や留意点

場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点

オールケーシング工法の留意点や特徴は以下のとおりです。

  1. チュービング装置によるケーシングチューブの揺動圧または回転圧入とハンマグラブにより、チューブ内の掘削をおこなう
  2. ケーシングチューブは二重管を使うことを原則とする
  3. やむを得ず一重管を使う場合は、作業時の状況に十分耐えうる安全性と剛性があるものをえらぶ
  4. 最初にセットするケーシングチューブ(ファーストチューブ)は、鉛直度を決める重要な要因となるので、短尺ものは使わないほうがよい
  5. ケーシングチューブは、コンクリートの打ち込みにともない引き抜く
  6. ケーシングで孔壁を保護するので崩壊のおそれはないが、玉石や大レキがあると押し込みが困難になる場合がある
  7. 地下水下に細砂層が厚く5m以上堆積していると、ケーシングが揺動作用によって水締めされて、引き抜きが不能になる可能性が高い
  8. 機械が大型で揺動のための反力が必要になるため、水上での作業には適さない

また、オールケーシング工法の流れはこんな感じです。

工法の流れ

①掘削

②支持層確認・根入れ掘削

③孔底処理(一次処理)

④鉄筋建て込み

⑤トレミー建込み

⑥生コン打ち込み

⑦トレミーケーシングチューブ引き抜き

⑧埋戻し

場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点

オールケーシング工法の流れ

アースドリル工法

アースドリル工法とは、回転バケットにより土砂掘削し、バケット内部の土砂を地上に排出する工法です。

アースドリル掘削機

アースドリルの掘削機のイメージはこんな感じ 🙂

場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点

アースドリル工法の特徴や留意点

場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点

アースドリル工法の留意点や特徴は以下のとおりです。

  1. 素掘りの可能な場合をのぞき、掘削孔には安定液(ベントナイト)などを使った泥水をはって、泥水圧で押さえて孔壁にできるマッドケーキで保護する
  2. 地表から浅い部分の崩壊のおそれのある地層に対しては表層ケーシング(2~4m)を挿入する
  3. ドリリングバケットと呼ばれる底開きのバケットの底に、歯のついたものを回転させて土を削りとる
  4. 機械の取り扱いがかんたんで掘削速度も速いが、孔壁の保護が安定液にたよるため、安定液の管理がかなり重要である
  5. 掘削が深くなると、バケットの上下距離が大きくなって能率が低下する

場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点

マッドケーキとは、安定液でつくる不透水層のこと。基礎工事などで使われる土木の専門用語です。

オールケーシング工法とアースドリル工法のちがいについては以下の記事をご覧ください。

オールケーシング工法とアースドリル工法の違いとは?掘削機や特徴も

リバース工法

リバース工法は、回転ビットにより土砂を掘削し、孔内水(泥水)を逆循環(リバース)する方式です。

リバース掘削機

場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点

  1. 表層部にスタンドパイプを設置する
  2. 外水位+2m以上の孔内水位によって孔壁を保護する
  3. 孔底でビットを回転させ、掘り起こした土砂はドリルパイプの内空を通じてサクションポンプにより水といっしょに吸いだし、土砂を沈殿させたあとに再び泥水を孔内に送り込み所定の深さまで掘削する
  4. 孔壁を0.02N/mm²の静水圧、場合によっては安定液で押さえる
  5. 静水圧を確保するため、スタンドパイプをたてる

リバース工法の特徴や留意点

場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点

ロータリーテーブルとリバース機本体を30mのキョリに置くことができるので、作業面積に制限を受ける水上作業に適しているが、陸上工事では、泥水の処理に注意が必要です。

また大きな玉石や、被圧水、伏流水の箇所での施工が困難になる場合もあります。

場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点

リバース工法の流れ

リバース工法

①スタンドパイプ建込み

②掘削

③孔底処理(一次処理)

④孔壁測定

⑤鉄筋カゴ建込み

⑥トレミー挿入

⑦二次孔底処理

⑧コンクリート打設

⑨埋戻し

深礎工法

場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点

深礎工法は、人力掘削と円形リングを使った土留工法との組み合わせで施工します。

簡単な排土施設で作業ができるので、山間部の傾斜地やせまい場所での施工も可能です。

また、支持地盤を直接目で確認することができます。

そして人力掘削であるので、排水が可能であることが条件になりますよ 🙂

さらに山留め材は、波形鉄板をリング枠で組み立てるもの、ライナープレート、コンクリート吹付けとロックボルトが使われています。

いっぽう軟弱地盤では、山留材にそれぞれ先行矢板、シールドなどの補助工法を採用し、重要な構造物に近接する場所では、構造物の変位を防止するため、上段の山留め材をコンクリートで固めてください。

一般的に山留め材は取り外さないことが多く、山留材と地山との間に生じる空げきを埋めるために、モルタル、その他の注入を行います。

場所打ち杭工法の比較

場所打ち杭工法4つを比較したものがこちらです。

工法 掘削・排土方法 掘削方式・孔壁保護方法
オールケーシング工法 チュービング装置によるケーシングチューブの揺動圧入とハンマグラブなどにより行う ハンマグラブ

ケーシングチューブ

アースドリル工法 回転バケットにより土砂掘削し、バケット内部の土砂を地上に排出する ドリリングバケット

表層ケーシングと安定液

リバース工法 回転ビットにより土砂を掘削し、孔内水(泥水)を逆循環(リバース)する方式 回転ビット

スタンドパイプと自然泥水

深礎工法 掘削全長にわたる山留めをおこないながら、主として人力により掘削する 人力など

山留材

工法 標準的な孔径

(m)

標準的な掘削深度

(m)

オールケーシング工法 振動式:0.8~2.0

回転式:0.8~3.0

振動式:20~40

回転式:30~50

アースドリル工法 0.8~3.0 30~60
リバース工法 0.8~3.0 30~60
深礎工法 2.0~4.0 10~20

それぞれ条件によって、施工できるものとできないものがあるので、比較検討したうえで工法をえらぶようにしましょう 😀

まとめ

オールケーシング工法
チュービング装置によるケーシングチューブの揺動圧入とハンマグラブなどにより行う
場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点
アースドリル工法
回転バケットにより土砂掘削し、バケット内部の土砂を地上に排出する
場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点
リバース工法
回転ビットにより土砂を掘削し、孔内水(泥水)を逆循環(リバース)する方式
場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点
深礎工法
掘削全長にわたる山留めをおこないながら、主として人力により掘削する
場所打ち杭 オールケーシング工法 注意点

以上です。

参考になればうれしいです。

〈関連記事〉

  • 液状化対策★発生原因や判定方法かんたん解説
  • 液状化現象をわかりやすく!原因や対策かんたん解説

ちなみに基礎工のひとつであるケーソン工法と既製杭工法については以下の記事をどうぞ~ 🙂

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今度こそほんとにおわり!(笑)

ありがとうございました。