喘息を診断したり、状態をチェックするために検査を行います。検査はいくつか種類があり、症状や年齢、目的にあわせて、ひとつまたは複数の検査を行います。 Show スパイロメトリーは、スパイロメーターという機械を使い呼吸機能を調べる喘息の基本的な検査です。 まず息を思いきり吸い込み、次に力いっぱい吐きます。この時、息を思いっきり吸ったときの肺活量(努力性肺活量)、吐き始めてから吐き終わるまでの時間、吐くスピードを、機械が測定します。 最初の1秒間で吐き出した空気の量を1秒量(FEV1)といい、この値が喘息の重症度の基準となります。喘息の方の場合、肺活量や1秒量は正常値より低くなる場合があります。 肺気量( Professional.see figure 正常な肺気量 正常な肺気量 )は,機能的残気量(FRC)の検査およびスパイロメトリーを用いて測定する。FRCは,正常な呼気後に肺に残っている空気の量である。全肺気量(TLC)は,最大吸気の終わりに肺に存在するガスの量である。 正常な肺気量ERV = 予備呼気量;FRC = 機能的残気量;IC = 最大吸気量;IRV = 予備吸気量;RV = 残気量;TLC = 全肺気量;VC = 肺活量;VT= 1回換気量。 FRC = RV + ERV;IC = VT + IRV;VC = VT+ IRV + ERV。 FRCをガス希釈法またはプレスチモグラフ(気流制限およびエアトラッピングがある患者ではこちらの方がより正確である)により測定する。 ガス希釈法としては以下のものがある:
窒素洗い出し法では,患者に安静呼気位まで呼出させた後,100%酸素を満たしたスパイロメーターから呼吸させる。この検査は呼出された窒素濃度がゼロになった時点で終了する。呼出された窒素の採取量は,最初のFRCの81%に相当する。 ヘリウム平衡法では,患者は安静呼気位まで呼出した後,既知量のヘリウムおよび酸素を含有する閉鎖回路に接続される。ヘリウム濃度の測定は,吸入時と呼出時の濃度が同じになるまで続けるが,これはヘリウム濃度が肺内のガス量と平衡に達したことを意味しており,認められたヘリウム濃度の変化からこのガス量を推定できる。 これら2つの方法は共に,気道と換気している肺気量のみを測定するため,FRCを過小評価する可能性がある。重度の気流制限がある患者では,とらえ込まれた相当量のガスは,ほとんどまたは全く換気しない可能性がある。 体プレチスモグラフィーはボイルの法則を利用して胸郭内の圧縮性のガス容量を測定するものであり,ガス希釈法よりも正確である。患者は気密性のボックス内に座り,安静呼気位から密封したマウスピースに対して吸入を試みる。胸壁が広がると,閉鎖されたボックス内の圧力が上昇する。吸気前のボックスの容量と吸気努力前後のボックス内の圧力を把握しておくことで,ボックスの容量の変化量が計算により得られるが,これは肺気量の変化と一致するはずである。 ボイルの法則: Pが圧力,Vが体積である FRCがわかれば,肺気量をスパイロメトリーで測定または計算で得られる下位の気量に分割できる( Professional.see figure 正常な肺気量 正常な肺気量 )。正常では,FRCはTLCの約40%に相当する。 『本当に大切なことが1冊でわかる呼吸器』より転載。 平澤真実 どんな検査?呼吸機能検査は、スパイロメーターという機械を使用して肺に出入りする空気の量を測定し、呼吸機能の評価や疾患の重症度などを評価する検査です。 目次に戻る 検査の実際椅子に座り鼻から息が漏れないようクリップをして鼻孔をふさぎ、マウスピースをくわえてもらい、それぞれの手順で測定します(図1、図2)。 図1 肺気量分画(スパイログラム)の測定 図2 努力肺活量(フローボリューム曲線)の測定 得られる評価項目呼吸機能検査では、肺気量分画(スパイログラム、図3)やフローボリューム曲線(図4)として結果が出ます(表1)。 図3 肺気量分画(スパイログラム) ★1
MIP(maximul inspiratory position) 図4 フローボリューム曲線 表1 呼吸機能検査で得られる評価項目 1秒間にどれだけ多く息が吐けるかを示す値を、1秒率(FEV1%)といい、図5のような式で表します。 図5 1秒率の式 *1秒量(FEV1;forced expiratory volume in 1 secon):1秒間に吐き出した空気の量 呼吸機能検査から、疾患の有無や換気障害の評価、さらには疾患の重症度の判定ができます(図6、図7、図8)。 図6 換気障害の種類 ★1
間質性肺炎 図7 閉塞性換気障害の場合(代表疾患:COPD、気管支喘息) 図8 拘束性換気障害の場合(代表疾患は間質性肺炎) 目次に戻る 看護師は何に注意する?結果から閉塞性換気障害や拘束性換気障害の有無、それらをきたす疾患についてしっかりと理解することが大切です。 呼吸機能検査の合併症検査中や検査後から呼吸困難や咳嗽、喘鳴、胸痛、頭痛やめまいなどが出現する可能性があるため検査中や検査後のバイタルサインを評価しましょう。 目次に戻る
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。 書籍「本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器」のより詳しい特徴、おすすめポイントはこちら。 > Amazonで見る > 楽天で見る [出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器』 編集/さいたま赤十字病院看護部/2021年3月刊行/ 照林社 フローボリューム曲線の目的は?息をはくときのスピードと量を測定すると出てくるグラフ。 ぜん息の重症度を見るために行う肺機能検査のひとつ。
フローボリューム曲線から何がわかるか?フローボリューム曲線;Flow Volume Curve. 胸いっぱい吸い込んだ空気を勢いよく吐き出し、最初の一秒間に吐き出した量を調べることで 閉塞性換気障害の有無や程度をみます。
フローボリューム曲線の利点は?フローボリューム曲線の第一の利点は,流量が特定の肺気量に対して妥当であるか否かを示せることにある。 例えば,正常では肺気量が少ない場合,流量が少ないが,これは肺気量が少ないと弾性収縮力が弱いからである。 肺線維症の患者では肺気量が低下するため,流量は単独で測定すると減少してみえる。
フローボリュームカーブの見方は?フロー・ボリューム曲線は、縦軸(フロー)のプラス側が呼息、マイナス側が吸息となるように表示するのが一般的である。 最大吸気点と最大呼気点の間の長さがFVCに相当する。
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