2021/11/28 2021/12/14 ITパスポート試験, 令和3年公開問題(IP) システムの経済性の評価において,TCOの概念が重要視されるようになった理由として,最も適切なものはどれか。 ア システムの総コストにおいて,運用費に比べて初期費用の割合が増大した。 イ システムの総コストにおいて,初期費用に比べて運用費の割合が増大した。 ウ システムの総コストにおいて,初期費用に占めるソフトウェア費用の割合が増大した。 エ システムの総コストにおいて,初期費用に占めるハードウェア費用の割合が増大した。 解説を読む 正解:イ 解説: TOCとは計画から開発、運用、保守、廃棄に至るまでのシステムに掛かる全ての費用のことです。 ア クラウドコンピューティングの導入などで初期費用は低減しています。
イ 運用を自社だけで賄えない事例が増え、運用費は増大しているので正解です。
ウ OSSの利用などでソフトウェアの費用は低減しています。
エ ハードウェアの性能向上と低価格化により費用は低減しています。
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コストの可視化
TCO(Total Cost of Ownership)、米ガートナーが提唱したいわゆるシステム保有総コストのことであり、コンピュータや情報システムの導入ばかりでなく、維持管理や利用に伴う費用などの総額のことだ。
1990年代に一人ひとりが情報端末を持つネットワーク・コンピューティングが急速に普及し、パソコン端末にかかわる有形無形のコストが大きな割合を占めるようになった。コンピュータの導入時に多額の費用を要した時代とは異なり、経営や事業のインフラになったコンピュータシステムでは維持管理や付帯的にかかる費用がばかにならない。そのためにTCOであるとか、ROIT(Return on IT=ITの導入効果)といった概念が必要になってきたものと思われる。
TCOには日常的に利用者がほかの利用者に使い方を教えたりする「見えないコスト」も含めるべきだといわれているが、そのコストを捕捉することは容易ではない。しかし現状の実態を見れば、利用者のリテラシーも一定の水準に達してきたし、情報システムのウェブ化などによって特別に利用マニュアルを用意しなくても使えるようになってきたのでそのコストまで費用をかけて捕捉することはないだろう。ただし、業務システムのリリース時の集合教育や常設あるいは一定期間設置するヘルプデスクなどのサポートコストは計上も容易であるし、当然コストとして含めなければならない。
TCOをどのレベルで補足するかは企業によって異なっている。TCOはどのような仕訳であっても、コストの評価基準を明確にして網羅的に把握しなければならない。経営者の意思決定のためには管理会計を導入していることが望ましいが、財務会計だけであっても経営者にとって分かりやすく容易に評価できるものでなければならない。それにはコスト構造を可視化することである。
あなたの会社はコスト構造が見えるようになっていますか? システム部門の人件費、無形固定資産に組み込むべき人件費、ハードウエア、ソフトウエア、ネットワーク、外注費、修繕費、消耗品費などなど、それらの内訳が明確ですか? 売り上げに対する投資比率が明確ですか? 毎月のコストが見えていますか? パソコン1台当たりいくらで購入しているか即座に答えられますか?
私の経験を言えば、期末に総額は分かるがコスト構造が見えるようになるまでには3年ほどかかった。システム部門の予算管理範囲はTCOの3分の2ほどであった。情報子会社には契約単位で外注費として支出されるので、その先の人件費や、ハードおよびソフト、グループ外への外注費などの内訳は見えなくなってしまう。
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2021年9月20日
リスクマネジメントとは?
「リスクマネジメント」とは、企業や組織などが、リスクを管理(マネジメント)し、リスク発生した際の損失などを回避又は、低減を図ることです。
「リスクマネジメント」の解説詳細は、以下リンク先にも記載がございます。類似の確認問題も出題しておりますので、是非、参照下さい。
リスクマネジメントに関する問題
情報セキュリティのリスクマネジメントにおいて,リスク移転,リスク回避,リスク低減,リスク保有などが分類に用いられることがある。これらに関する
出典:令和3年度 春期 ITパスポート試験公開問題 問99
記述として,適切なものはどれか。
ア. リスク対応において,リスクへの対応策を分類したものであり,リスクの顕在化に備えて保険を掛けることは,リスク移転に分類される。
イ. リスク特定において,保有資産の使用目的を分類したものであり,マルウェア対策ソフトのような情報セキュリティ対策で使用される資産は,
リスク低減に分類される。
ウ. リスク評価において,リスクの評価方法を分類したものであり,管理対象の資産がもつリスクについて,それを回避することが可能かどうかで
評価することは,リスク回避に分類される。
エ. リスク分析において,リスクの分析手法を分類したものであり,管理対象の資産がもつ脆弱性を客観的な数値で表す手法は,リスク保有に分類される。
◆確認問題の解答(ア)、解説・・・解説は、次の通り。
「リスク移転」、「リスク回避」、「リスク低減」、「リスク保有」の4つは、リスクアセスメントの結果、対応が必要であると評価されたリスクへの対応策になります。なお、それぞれの対応策は次のものです。
- リスク移転:他者とリスクを共有すること
- リスク回避:リスク源を除去して、リスクが現実化する確率をゼロにすること
- リスク低減:リスクの起こりやすさ、またはリスクが現実化したときの損失を低下させること
- リスク保有:リスクを許容し、あえて何の対策も講じないこと
よって、「ア」が適切になります。
TCOとは?
「TCO」とは、「Total Cost of Ownership(総所有コスト/総保有コスト)」の略であり、機器や、ソフトウェア、システムなどの入手、導入から破棄に至るまでの費用の総額のことです。
「TCO」の解説詳細は、以下リンク先にも記載がございます。類似の確認問題も出題しておりますので、是非、参照下さい。
TCOに関する問題
システムの経済性の評価において,TCOの概念が重要視されるようになった理由として,最も適切なものはどれか。
出典:令和3年度 春期 ITパスポート試験公開問題 問100
ア. システムの総コストにおいて,運用費に比べて初期費用の割合が増大した。
イ. システムの総コストにおいて,初期費用に比べて運用費の割合が増大した。
ウ. システムの総コストにおいて,初期費用に占めるソフトウェア費用の割合が増大した。
エ. システムの総コストにおいて,初期費用に占めるハードウェア費用の割合が増大した。
◆確認問題の解答(イ)、解説・・・各選択肢の解説は、次の通り。
- ア:初期費用の割合は下がり、運用費の割合が増大しています。
- イ:正解です。
- ウ:クラウドコンピューティング、ERPパッケージ、OSSなどよりソフトウェア費用は下がっています。
- エ:同じ性能をもつハードウェアを調達するのにかかる費用は年々下がっています。